第3話

さて、戦闘者とは何なのかについて無知蒙昧な君たちに教えてあげよう。

あ、ごめんなさい。謝るから閉じないで。


戦闘者とは異能の力を持った人間のことをさす。

どれも日常生活よりも先頭に特化した能力となっているため戦闘者なんて呼ばれているわけだ。

しかし戦闘者は後天性発現、つまりもともと無能力者で急に能力者になったみたいなことはなく生まれた時から持っているものなのである。

10人に1人の割合だが人を殺せる能力、当然学校では無能力者に対するいじめが起こるケースもある。

実際隣のクラスでいじめがあったらしいし。


現在の日本は実力主義、すなわち能力を持つ戦闘者の方が優遇されるため、必然的に無能力者が差別されるのだ。

そんな中、人工的に戦闘者になることが分かったら世間があれるのがすぐにわかる。

以前まで維持していた立場と同じ位置に今まで差別していた無能力者が集まってくるためいじめなどをしていた戦闘者からすれば怖いだろう。

もしばれたら、あのお薬おじさんや僕が消されてしまう。

知り合ったものを殺すほど僕は落ちぶれちゃいないので(あと自分の命が惜しいし)隠し通すことが必然だろう。

それにしても…


「やっぱりかわいい~」


姉貴の着せ替え人形にされているのはいまだに否めない。

どうやら女になった僕を気に入ったらしくお古の服を選んでくれているらしい。

まあ、正直服のセンスはあるとは思うが。


「スカートスースーする…」


いかんせん元が男だったためスカートをはきなれていない。(お出かけの時はズボンを使った)


「う~ん、これもいいんだけどやっぱりなんか違う…こう…もっと…あ、そうだ!」


そういって姉貴は戸棚をごそごそしだす。


「これ着てみよう!」


「ちょっとまって」


僕が制止したのも無理はない。

だってそれは…ロングスカートのメイド服だったからだ。


「似合うから!絶対に似合うから!」


「似合う似合わない以前に今夏なんですけど!?メイド服なんかそんなの着たら蒸し焼きになって死ぬわ!」


「お姉ちゃんの言うことが聞けないのかな~?あ~いいのかな~?さっきの女装した写真SNSに挙げることだってできるんだけど?」


「着させていただきます」


尊厳維持、大事。


こうして、黒いメイド服に白い靴下をはいた美少女が出来上がった。

いや自惚れかもしれないけどマジで美少女なのよ僕。

俗に言うセミロング…?という髪型で以前よりも髪の毛がさらさらしている。

肌は白っぽく目は二重、かなり整った顔である。

こんな顔で笑顔とかされたら男子が気絶するであろうレベル。

胸と身長は残念なものだったが。

嫌なんで以前より体が少し縮んでんだよ!

俺175くらいあったのに150くらいになってるし…

泣きそ。


なお、こんな考え事している間にも姉貴にいろんな髪留めやらピアスやらを試された。

死にたい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る