第11話 文化祭

高校に入ってから2回目の文化祭。

クラスではアイス屋さんをやった。


夜のお店で働くようになってから学校にいる間はほぼ眠気に襲われてなんとなく過ごしていたのでなぜアイスに決まったのかとか全然記憶にない。

それくらいなんとかやってた。

出席もギリギリだしこの頃は遅刻もよくしてた。

毎日学校に行くのもだるくて朝も起きるのが辛い。

友達もいるし行ってしまえば楽しいけどって感じだった。


やる気のない私は文化祭でも上の空だった。

1日目は校内で楽しむ日、2日目は他校の子だったり誰でも呼べる学校が一般解放される日。


去年は彼氏ができて売上金で海で花火したり打ち上げして楽しかったなぁ…


そんなことをぼーっと考えて1日目が過ぎていった。

2日目治を誘うと来てくれるようなので校門で待って手を引いてクラスに連れて入った。

手を引いて廊下を歩いてる時、クラスに入った時、周りの女の子達が一斉にこっちを見る。


鈍感な私でも治の見た目がいい事がよくわかった。

同時に周りの女から向けられる視線が痛かった。


嬉しいような早く逃げたいような気持ちだった。


結局そのまま治の車に乗って帰ってしまった。

車で治は久しぶりにアイス食べた!とか言っていた気がするけど私はモヤモヤして空返事だった。


治の家に着くと治のお母さんがご飯を作ってくれた。

治のお母さんはたまにご飯を食べさせてくれて家に帰らない私を心配していた。

あんまり口に出すと治が怒るので控えめに大丈夫なの?と言っていた。

お父さんは船に乗る仕事をしていてあまり家にはいないけど何回か一緒にご飯を食べて

進学校の制服を着てる私を気に入ってくれていた。

家のこととかはあんまり聞いてこなかった。


調理師免許を持ってるお母さんのご飯は美味しくて治はお店やコンビニより家で食べた方が美味いよね。ってよく言ってた意味がわかった。


夜よく治はギターを弾いてくれた。

独学で覚えたと言ってたけど毎日弾いてちゃんと弾けてた。

治の家には治のお姉さんのピアノと防音の部屋があり、たまに私はピアノを弾いた。

その度に治は凄いとよくきいてくれた。


一緒にいると居心地がいいけどなんかモヤモヤする関係。


文化祭に連れてきて手を引いて歩いたことで色んな子に見られて付き合ってると噂がたってしまったらしい。

文化祭の数日後から待ち伏せされたり、知らない女の子から悪口を言われてるらしいなどが私の耳に入るようになってきた。

元々私は自分に自信がないので真に受けたりすることもあり落ち込んでいた。


愛美のこともあるし知らない女から悪口を言われるのもうんざりだった。


モヤモヤの原因はずっとこれだとわかってたけど解決しない。


治と距離をおきたいと言って私は一旦逃げた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

狂咲 -私の話 夜うさぎ @a_me

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画