第31話 この流れ、、振られる?

【登場人物紹介】

これまでのあらすじを踏まえた人物紹介です。


真鍋星矢(せいや)…社会人二年目。自分の優柔不断な性格を変えるため、副業でバーテンダーという新たな世界へ飛び込む。春花に告白したが保留にされている。



多田愛未(まなみ)…社会人一年目。あざと系女子。星矢を誘惑してもて遊んだと思われ、距離を置かれている。現在は会社の上司、内間君恵の恋愛相談に乗っている。



中野春花(はるか)…社会人一年目。ストーカー対策として星矢と恋人のフリをしていた。星矢の告白は一旦保留にしている。



春日部博(ひろし)…星矢の良き相談相手。愛されキャラだがモテはしない。



内間君恵(きみえ)…星矢の上司。星矢に告白したがあっさり振られてしまった。バーテンダーの孝之にアプローチされていたが、前回の話でもうデートできないことを伝えた。



堤健司(けんじ)…星矢が副業で働くバーのマスター。オネェ。人生の先輩的存在。



町田孝之(たかゆき)…星矢のバーでの教育係。星矢の一個上。お客さんで来ていた内間君恵に恋をしていたが告白前に振られてしまった。



今西絢音(あやね)…星矢のバーの常連客。男の欲望を詰め込んだかのような女性。星矢を誘惑するが失敗。




_______________________



「この前の告白の件なんですけど」


春花が話し始めた。


「長くなりそうなんでそこのベンチでお話できますか?」


ベンチ。嫌な予感。星矢は愛未とベンチで話した記憶が蘇った。


「わかった。」


二人はベンチに座った。


「ちょっと長くなるかもなんですけど私の過去の話をしてもいいですか?」


「いいよ」


「私、今まで男運なくて。というのも前の彼氏は彼氏からのDVが原因で別れたんです。その人は付き合う前や付き合いたては凄く優しい人だったんです。でも付き合ってくうちに豹変しちゃって。付き合ったのはその人だけだったんですけど私に告白してきた人にストーカーされた経験もあって」


「それって俺と恋人のフリしてたときにつけてきたストーカー?」


「そうです」


「犯人知ってたんだ」


「知り合いだから警察にも言えなくて。恋人のフリして諦めて貰うことにしたんです。すみません」


「全然気にしてないよ!それで?」


「DVやストーカーの経験から若干男性恐怖症みたいなところがあって。でも星矢さんの事は本当に信用していたんで恋人のフリをお願いしたんです。でもやっぱり付き合うとなると戸惑ってしまう自分がいて保留にしちゃってて、、」


「なるほどね」


「告白保留って本当に心臓に悪かったですよね。申し訳ないです。だからこそ星矢さんがどんな人なのか、しっかり見たかったんです。今日のデートも本当に楽しくて、、でもこれは恋なのか、恋じゃないのか自分でもよく分からなくて。」


………待って。この流れ、、振られる?………


「曖昧な状態で付き合うのは星矢さんにも失礼だと思うんです」


………やっぱ振られるよねこれ。………


「でも一緒にいて楽しいしこれから好きになれるだろうなって本気で思ってます。付き合いましょ!私たち!」


星矢は唖然とした。流れ的に振られると思っていたからだ。予想外の一発逆転ホームランに戸惑った。


「え、ちょっと待って。てことは告白オッケーって事?」


「はい!これからよろしくお願いします!」


……待て待て待て。心の準備できてないって!!………


星矢は感情がかなり高ぶっていた。何言っていいのかも分からなかった。


「え、あ、ありがとう!」


「星矢さん!緊張が伝わってきてかわいいです」


………かわいいだと!?………


「私、これでも今日頑張ったんですよ?プラネタリウムで手繋ごうとしたり。」


「わかってるよ。俺も緊張しすぎて上手くできなかったけど」


「そこがいいかもしれませんね。私たち。社会人だけど中高生の青春のような恋愛みたいで。」


「そうだね」


しばらく間が生まれた。春花は星矢をじっと見つめている。


………何?何考えてるの?………


「キス…してもいいですか?」


二人の間に緊張が走る。

星矢は何も言わず、ハグをした。心臓はバクバクだった。ハグした後、キスもした。


「好きだよ」


星矢は震えながらそう言った。春花も目を瞑り、星矢の身体に手を回した。


ハグからキスまでの一連の流れを遠くで内間さんが見ていた。孝之とのデートの後に走って星矢がいる渋谷まで来ていたのだ。二人は内間さんの姿に気づかず、抱きしめ合っていた。内間さんは何も言わず、その場を立ち去った。



「星矢さん。私、こういうスキンシップは割りと多い方が好きです。」


しばらくしてから春花はそう言った。星矢は何も言わず、春花の頭を撫でた。こうして初々しい社会人カップルが一組誕生した。



 

 

 夜。春花は内間さんに電話をした。


「内間さん。私、星矢さんと付き合うことになりました。内間さんのおかげです。ありがとうございます」







_______________________



ここまで読んでくださり、ありがとうございます!主人公が誰と結ばれるのか等、予想を応援コメントとかに書いてくれるととても嬉しいです。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る