第23話 日程が決まらない

【登場人物紹介】

ここまでのあらすじを踏まえた人物紹介です。


真鍋星矢(せいや)…社会人二年目。自分を誘惑してくる愛未と決別し、新たな恋へ進む。兼ねてから少し気になっていた後輩の春花に告白するも保留にされる。



多田愛未(まなみ)…社会人一年目。あざと系女子。モテたいという欲求から色んな人を誘惑してきた。星矢の事ももて遊んでると思われ、星矢から決別された。



中野春花(はるか)…社会人一年目。星矢とは訳ありで恋人のフリをしていたが、本当の恋人にならないかと星矢から告白される。その返事は保留にした。



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 ウキウキ気分で家に帰ったのも束の間。星矢はラインしていてある問題に出くわした。


………日程が決まらない………


デートあるある。お互いの日程が合わない。特に忙しい社会人等は尚更だろう。だが、仮にも同じ職場。休みとかは大体同じはずだ。なのに合わない。春花が予定を入れてる場合が多い。


………これ、断るのが申し訳なくてあの場では断れなかったけどデートの日程を有耶無耶にすることによって遠回しに諦めるように言われてるやつ?………


 星矢はネガティブ思考だ。すぐそのような考えになる。でも大学時代、日程が決まらないと思っていたら脈ナシだったというパターンもあったのであながち考えすぎとは言い難い。付き合う前のこの脈アリなのか脈ナシなのか分からない期間もドキドキを増加させる一つの要素だ。


星矢はラインを閉じ、グーグルへ。一応通知がきたらすぐ見れるようにスマホは見ておく。


゛告白 保留 ゛ でグーグル検索。

出てくるのはその後、振られたというエピソードばかり。それも星矢をどんどんネガティブにさせる。でも希望を持って何度も調べる。


ピロン。


ラインの通知が鳴る。急いで開いたら内間さんからの仕事連絡だった。


………貴方かい!………


通知がきたらすぐに確認しちゃう。これも好きな人がいる時あるあるだ。これを恋と呼ばず、何と呼ぶのだろう。


ピロン。


またすぐ確認する。今度は公式ライン。


………待ちくたびれる。こんなドキドキ、愛未の時はなかったな。というより愛未が返信早すぎたのもあるが………


敢えて遅らせるという駆け引きをしているのだろうか。それとも単に返すのがめんどくさいだけなのか。


………あー、もう駆け引きめんどい!!………



 結局、初めてのデートは1ヶ月後に決まった。


ここからはデートまで長い期間、待たなければならない。これも星矢にはしんどかった。愛未のせいで部署を変えたため、春花と仕事中会う時間も少なくなったし仕事の時間も退屈だった。


………1ヶ月長いよぉ………


仕事して帰ってまた仕事に行く。そんな生活。同じ部署に愛未や春花がいた時は感じなかった退屈感を今、物凄く感じている。デートの日が待ち遠しかった。


前の部署の人と関わる機会は減ったが博とはよく連絡していたし春花とデートする事も一応伝えていた。




仕事に退屈を感じた時はバーに行ってマスターの健司さんと話すのは良い気分転換になっていた。恋愛相談だけでなく、人生相談も充実しているバーだったのだ。


「あなたさ、仕事で大事な事って何だと思う?」


すぐに答えられなかった。思えば今、物流業界にいるが元々興味があってその業界に行ったわけではない。大学時代を何となく過ごして文系だったので営業職を就活で見ていって内定貰った会社に就職しただけ。仕事にやりがいなんて感じているわけがなかった。


「わからないでしょ!あなた、なんとなーく就職してなんとなーく過ごしてるタイプね。だからいつも意志が弱いのよ〜。好きな人も二人できたり紆余曲折してるのは意志が弱いからよ!」


言い返せなかった。本当にその通りだったからだ。


「私はね、その仕事して本当に楽しいか人生が充実しているかが重要だと思うの。別に仕事が全てじゃないんだけどね。高収入を取って大手企業に就職するのが幸せと感じる人もいるし夢を追うのが幸せと感じる人もいる。好きな人と結婚するのか幸せと感じる人も。幸せは人それぞれなのよ。でも自分にとって何が幸せか考えないとこのまま何となく時間を消化するだけの人生になるわよ」


………本当にその通りだ。この人は何年生きているんだろう。いつも新しい発見を与えてくれる………


「俺、わからないです。どうしたら自分なりの幸せを見つけられますかね?」


「じゃあさ、あなた、うちで働いてみる?」









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ここまで読んでくださり、ありがとうございます!主人公が誰と結ばれるのか等、予想を応援コメントとかに書いてくれるととても嬉しいです。


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