第22話 今度デートしませんか

 星矢は愛未と決別すると決めた。これまでずっと愛未のペースに呑まれてきたから。このまま愛未を好きでい続けたらきっとまたペースを乱される。

予想外の行動をするたびに頭を悩ます日々が続く。仮に付き合えたとしても愛未の行動に不安を抱き続けなければならない。そんな生活に耐えられる自信がなかった。

それならいっそのこと決別しよう。そう思ったのだ。


「それともう俺に二度と関わらないで」


「え、、」


「もう愛未にペース乱されるの無理なんだよね。結局、モテたいとかいう自己承認欲求に俺を利用したかっただけでしょ。そういうの、もうウンザリ。でも関わり続けたらまた何かやってくるでしょ。そういう人でしょ愛未は。だからもう関わらない。社長に言って部署変えてもらうようにするから」


愛未は驚いていた。星矢もたかが失恋で部署を変えるなんて思ってもなかった。でもそこまでしないと愛未はペースを乱してきて前に進めないかもしれない。そう思っての行動だった。


 結局、星矢は部署がうつり愛未と関わる事はなくなった。それと同時に春花、博、内間さんとの関わりも減っていった。しかし春花とは一応恋人のフリをお願いした関係であったので二人でカフェで会って事情を説明することになった。


「なるほど。部署うつったことで一応問題は解決したってことですね!」


「そうなるね」


「じゃあ恋人のフリももう終わりですか?」


星矢は躊躇った。春花と恋人のフリをするのは楽しかったからだ。何かの目的がなくても春花とは恋人のフリを続けたかった。


………なら、、本当に恋人になればいいのか!………


星矢は春花と手を繋ぎながら出勤したこと、夜の海で二人で物陰に隠れていたことを思い出しながら自分の春花に対する気持ちはただの後輩としての感情ではないと気付いていた。つい最近、愛未に告白して振られたばかりなのに気変わりが早いのは自分でも分かっていたがそれ以上にこの関係が切れるのが嫌だった。


「そのことなんだけどさ、俺、春花と恋人のフリしたり海で話してて本当に楽しかったんだよね。一回恋人のフリが解消されたときも少し寂しかった。まあ、あの時は愛未に振り回されてたのもあるんだけどさ。愛未と関係を切ってから冷静に考えてみて春花と一緒にいるのが楽しいって再認識できたんだ。だからさ、もし良かったら」


「もし良かったら?」


「俺と付き合ってください!」


春花は驚いていた。そりゃあそうだろう。ただの先輩だと思ってただろうし恋人のフリは義務でやっていたのだろうから。少し考えてから春花は答えた。


「ごめんなさい。」


………また俺、振られる?………


「確かに私も海で真鍋さんといて楽しかったですし頼りになる先輩だと思います。でも真鍋さんの事をまだあまり知らないというか。恋人のフリしてたときも深い話はしなかったし。だからまだ付き合うのは早いかなって思ってるんです」


「まだ?」


「はい。もっと真鍋さんの事、知ってからじゃないと上手くいかないんじゃないかって」


………なるほど。でもこれ、遠回しのNOだよな。告白を断りたいけど相手を傷付けないために使う常套句。実質振られてるよな、これ………


そう思っていた星矢だったが次の一言で流れが変わった。


「だから真鍋さんの事をもっと知りたいんです。それから決めたいんです。なので今度デートしませんか?二人で!本当の恋人みたいに」


予想外の展開。流れ的に振られると思ってた星矢にとっては一発逆転ホームラン並の返答だった。


「つまり今は保留ってこと、?」


「そうなりますね。なので今度デートしましょ!後で日調するためにラインしてもいいですか?」


「も、もちろん!!」


ここで喜んではいけない。まだ付き合えるわけじゃない。でも春花と二人でデートできるのは確定だ。今度は恋人のフリとかじゃなくて本当に一人の異性として。それだけでも星矢は嬉しかった。


………あぁ。こっちが正解だったんだ。………


今年になってから紆余曲折あったがやっと正解のルートを見つけた気がした。

星矢はその日、ウキウキ気分で家に帰った。










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ここまで読んでくださり、ありがとうございます!主人公が誰と結ばれるのか等、予想を応援コメントとかに書いてくれるととても嬉しいです。


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