第5話

 ハクビが魔王と君臨しはや8年が経った。魔界はハクビの弱肉強食の世界を徹底しており、弱い魔族は次々と強い者のいいなりとなっていた。また人間界にも魔族達は侵攻をすすめているも、まだ人間界を支配するまでには至っておらず、人間界も魔族界も膠着状態が続いているのであった。


 そんな中、とある場所では1人の子供の女性が


【子供女】「母様、母様、今日私の誕生だよ?覚えてる?」


 とエルフの女性に話しかけており、エルフの女性は


【エルフ女性】「そんなの覚えているわよ。どうしたのよ突然と聞いて来て」


【子供女】「‥あのね、私の誕生日って本当に今日なの?私ね最近変な夢をみるんだ。知らない場所を男の人や女の人に抱えられ誰かから逃げてる夢を‥」


【エルフ女性】(まさかあの時の事を覚えているの?この子に本当の事を話すべきなのかしら?けどまだこの子は8歳‥)

「何を言ってるの当たり前じゃないの。」


【子供女】「母様がそういうなら信じる。じゃあ私、出かけて来るね!!」


 と言いその場から出て行く子供にたいしエルフの女性は


【エルフ女性】「はいはい、気を付けて行って来るのよ!!あんまり遅くならないようにね」


 と見送り、姿が見えなくなったのを確認してから


【エルフ女性】 「ヨハネス‥貴方が約束をしてからもう8年。貴方はあの時に本当に死んでしまったの?私はあの時、少しして巨大な地響きと共に木の根の隙間の床が崩落し広い空間に落ちそこで何日か過し辛うじて外に出た。そうしたら名もなき地は何も無くなっていた‥。何が起こったのかその時は理解出来なかった‥」


 と呟きながら、その場を後にしたのだった。


 そして女の子はと言うと、広い広場にきており


【子供女】「今日は何をして遊ぼうかしら?母様からこの洞窟から出てはいけないと言われてるし‥そもそも出口には結界が張ってあるから出れないわ。何で出たらいけないの‥」


 と呟いていると女と同じくらいの男が


【男】「ヨネ、ヨネ、今暇?」


【ヨネ】「アルタ。そうね暇といえば暇よ!」


【アルタ】「なら結界から外に出て見ない?」


【ヨネ】「結界から?えっ、けどどうやって出るの?結界は大人の人が守ってるのよ?無理だよ‥それに母様に知られたら凄く怒られるわ」


【アルタ】「結界の近くの今は使われてない水路に隠し通路を見つけたんだ!!そこを歩んでたら外に繋がってる場所を見つけたんだ」



【ヨネ】(本当に外に繋がってるのかしら?そもそも本当に外なの?)

「アルタ‥そこは本当に外だったの?」


【アルタ】「間違いないって!ストレンジさんが外だと言ってた。あの人が言うんだ間違いないよ」


【ヨネ】「ストレンジさんが?けどおかしくないかしら?ストレンジさんって結界を張ってる人の1人よ?何でわざわざ隠し通路の場所を知ってて教えたの?」


【アルタ】「そんな事、どうでもいいだろ!!外に出れるだよ?ヨネは外に出たくないのか?こんな場所にずっといるつもりか?」


【ヨネ】「外に出たいけど‥やっぱり私は遠慮するわ。母様に怒られたくないから」


【アルタ】「分かったなら俺1人で行くから。この事は誰にも言うなよヨネ」


 と言いアルタはその場を後にした。ヨネはアルタの姿が見えなくなり


【ヨネ】 「ストレンジさんか‥あの人、最近焦ってる様な‥っていいや何でもないや。それよりも、今から何をしようか考えよ」


 とその場から離れる。一方でアルタは1人にて隠し通路がある水路近くに来ており


【アルタ】 「ここがストレンジさんが言ってた場所か。中に入って見るかって、誰か奥からこっちに来てる。隠れないと」


 すぐ近くの岩陰に隠れ様子を見る。水路から出て来た人物を見て


【アルタ】 「えっ?何でそこからヨネが出て来る?アイツはここの事を知ってたのか?何で?どいう事だ?」


 と呟いていると、また1人の男も水路から出て来て


【男】 「ひばな様、お待ち下さい!!まだ作戦ではありません」


【ひばな】 「黙りなさい!ハクビお父様から、お父様を裏切り私の妹を赤子のまま連れ去った者がここにいると聞いたのです。その者を抹殺し妹を連れて帰る。仮に妹が洗脳されているなら殺すようにともハクビお父様から言われてるの。これは私にしか出来ない事です」


【男】 「‥分かりました。けど、ストレンジからの連絡を待ちましょう。彼ならその者と妹の居場所を知ってる。それにこの名もなき地の地下の行く結界を破壊する魔法をもうじき組み込み終わるそうですから」


【ひばな】 「分かった。ならそれまで今までこの水路に誘導した奴らの魔力を全て抜き取りハクビお父様に持って帰る準備をしようかしら」


【男】 「では直ちに魔法陣を展開し作業を始めさせてもらいます」


 といい2人は水路の奥に戻って行くのであった。


【アルタ】 「ヨネが、ハクビ魔王の娘?裏切った者はヨネの母親?そんなの聞いてない。それにストレンジさんは‥意味がわからない。この事をヨネとヨネの母親に聞くしかない」


 と思い大急ぎでその場から離れるのであった。

 そして、アルタはヨネの家に到着し


【アルタ】 「おばちゃん!!聞きたい事があるんだけど、ヨネにも」


 と声を出す


【エルフ女性】 「あらあら、アルタ君。急にどうしたのかしら?ヨネはまだ帰って来てないわよ?」


【アルタ】 「おばちゃん‥おばちゃんは魔王ハクビを裏切ってヨネを赤子のまま連れて来たの?説明してくれよ!!」


【エルフ女性】 「アルタ君?それはどいう事?何でそんな事を?」 (裏切った?どいう事なの)


【アルタ】 「‥ヨネとそっくりな奴、はなびって奴がそう言ってた。おばちゃんは何者なの?ヨネは魔族なの?それにもうじき魔族達が結界を壊しここに流れ混んでくる。ストレンジさんが結界を壊す魔法を組み込んでるらしい。あんた達のせいで!!」


【エルフ女性】 (ヨネとそっくりな子?そんなのヨハネスから聞いてないわ。それに急いで皆を何処かに避難させないと間違いなく皆殺しにされる) 「アルタ、その話は嘘よ!!それよりも皆に急いで避難するように言わないと。長にこの事を伝えなくては」


【アルタ】 「そうやって僕を騙そうとしてる?それにおばちゃんって‥僕知ってるよ。エルフなんでしょう?ストレンジさんがそう言ってた。エルフなのにヨネはその特徴の尖った耳が継承されてない。道理で、おかしいと思ってた。間違いなく魔族だ!!」


 その時ガチャン、と言う音が鳴り


【??】 「何、それ?私は母様の子供じゃあないの?私‥母様の事を信じてたのに‥」


【エルフの女性】 「ヨネ‥何処から聞いていたの?」


【ヨネ】 「母様の嘘つき!!!!!!!!!!!」


 と叫びその場から走り出すヨネ。


【エルフの女性】 「ヨネ待ちなさい!!」


【アルタ】 「僕は悪くない。悪いのはおばちゃんだ。それに今更、避難なんて無理だよ。あんた達のせいで僕達は今日、死ぬんだ!!」


 と叫びアルタもその場から何処かに走り出したのであった。


【エルフの女性】 「こんな事ならヨネに全てを話すべきだった。ヨネを追いかけたい‥けどその前に長に急ぎ連絡し避難させないと」


 といい魔法陣を展開しその場から姿をけしたのであった。


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