バッファローSFの中でも抜きん出た傑作

KAC2024の第一回お題によりカクヨムに溢れた種々のバッファロー文学、その中には数々のバッファローSFが存在したが、本作はその中でも特に地に足がついたバッファローSFとして(地に足がついたバッファローSFってなんだよ)最も秀逸なものだと思う。
多くのバッファロー作品は(私も含め)全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れそのものをどうにかしようと画策している。当然である。全てを破壊しながら突き進むバッファローなど止めたいというのが人情だ。
だがこの作品ではバッファローの突進を天気のようなものと捉え、その動きを予報することに重点を置いている。
「十分に巨大なバッファローの群れは流体として振る舞う」という一文が非常に良い。科学に関する古典的ジョークである「球形の牛」を下敷きにしたようなこの文にクスリとさせられた。
オチも含め、バッファローSFの傑作に上げるべき作品だと思う。他のバッファロー作品とは一線を画す本作、是非読んでみて欲しい。