第17話 二度目の失恋
【山神あきらの視点】
2月13日。1年前、俺はナツミに振られた。約束の予定をドタキャンされた。凄く傷付いた。
そして俺は今、同じことを今の彼女カノンにしようとしている。ナツミにもう一度会うために。
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【中村カノンの視点】
カノンがあきらの家のチャイムを鳴らしても返事はなかった。カノンはあきらに「着いたよ」とラインした。
30分が経ってもあきらからの返信はなかった。カノンはそのまま待ち続けた。
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【山神あきらの視点】
あきらはナツミの家に着いた。チャイムを鳴らす。
ナツミは出てきた。どうやら今、家に一人のようだ。
「ちょっと話せない?」
ナツミは少し考えてから答えた。
「いいよ。でもここで。中には入らないで」
「わかった。」
絶対に中には入れたくないらしい。罪を共有したと思っていたのは俺だけだったのだろうか。
「話って何?」
「俺さ、1年間ナツミのこと忘れようと必死になった。忘れなきゃいけないんだって思ってた。何度も何度も今の彼女の事を好きになろうと努力した。でも、どんどんナツミへの想いが増していって。最近は毎日のように夢に出てきて。浮気だって分かってたし何よりナツミが俺の事好きになることがない以上、諦めなきゃいけないんだって思ってた。
でも無理だった。浮気してでもナツミと一緒にいたい。もう失いたくない。ダメなのは分かってる。正直馬鹿過ぎるし最低だと思う。
でもお願い!次は絶対好きにさせるから!どんなことでもする!望みは叶えるから!マジで大事にする!だからさ、もう一回やり直したいんだ!」
あきらは1年間溜めてた自分の思いを吐き出した。
するとナツミは泣き出した。
「無理だよ。私、彼女いるんだよ?」
「彼氏はいないでしょ!確かに今、ジェンダー問題が前より見直されてきてるけど彼氏いなかったら浮気にならないよね?」
「なるよ。私バイなの!恋愛対象になる相手二人と付き合ってたら充分浮気だよ、、
それにもし付き合ってる人いなかったとしてもあきらとは付き合えない。私も1年前、好きじゃないのに軽い気持ちで付き合ってあきらを傷付けたこと後悔してる。だから、また付き合っても同じことであきらを傷付けちゃうと思うの。」
「次こそ好きにさせるから!」
「無理!絶対好きになれない。あきらの事、友達としか見れないの!」
突き放された。ナツミは泣きながらドアを閉めた。
1年前の同じ日。俺は同じ感じで振られた。でもあの時と違う。あの時がナツミにとって「逃避」だとすれば今度はおそらく「拒絶」。もう二度と関わりたくないというメッセージ。そんなふうに感じた。
何だよ。友達としか見れないって、、俺はナツミの事、恋人としか見れないんだよ!
それにカノンを傷付けてここに来てしまった。それほどまでにナツミが好きだったんだ。
あきらは茫然自失になりながら帰り道を歩き始めた。
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