第16話 罪の共有
【山神あきらの視点】
「これ!バレンタイン!ナツミのために作ったんだよ」
「え!ほんと!嬉しい〜」
ナツミのために手作りで作ったチョコレートをナツミが嬉しそうに食べる…
そんな夢を今日見てしまった。もう浮気はしない。そう誓ったが心の片隅ではまだ元カノのナツミが消えてないのだろう。でもふと思った。
………浮気ってどこからなんだろう………
キスしたら?セックスしたら?はたまた、心が動いただけで浮気?定義が曖昧すぎる。
でも。少なくとも。
あのタコパの日、ナツミとキスしてハグしたあの瞬間。あれは間違いなく浮気だろう。カノンを傷付けてしまった事実は変わりない。だから二度としない。あんなことは。でも、、
(ナツミにも今、彼女がいるってことは俺とキスしたのは向こうにとっても浮気だ。これって、、)
………罪の共有………
俺はあの日、罪を犯した。好きな人を傷付けるという重い罪を。しかし、それはナツミも同じだ。俺たちは同じ罪を犯した。共犯者なんだ。
そう考えたらどんどんナツミの事が好きになってしまった。
罪を共有すること。それは究極の愛。何かのドラマでそんなシーンを見た気がした。たかだが大学生に愛なんて分かるのかと言われたらそれまでだ。いや、大人になっても愛なんて分からないのかもしれない。そもそも恋とか愛とか定義が曖昧なんだ。
浮気は何故ダメなのか。そもそも浮気とはどこからなのか。好きとは何か。友達と恋人の違いは何か。
………そもそも恋愛とは何なのか………
曖昧なのが悪いんだ。俺が悪いわけじゃない。俺を好きにさせたナツミが悪いんだ。
浮気しちゃうのは、、ナツミ、君のせいじゃないか。
約1年間隠し続けてきたこの気持ち。向き合うのが怖かった。だってもう終わった恋だから。もう別れていたから。でも世間が決めたくだらない「ルール」を無視して考えて見た時、自分の本当の気持ちが見えてきた。
「俺は、、ナツミが好きだ!」
そう思い立った瞬間、身体は動いた。ナツミの家に向かって走り出した。
この後、あきらの家に来る予定だったカノンに何の連絡もせずに。
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