第11話 ぎこちない関係
これまでの簡単なあらすじ
主人公あきらとナツミは付き合っていたが、ナツミの本心が見えず、本音で話せない関係だった。また、なかなか自分の事を好きになってくれないナツミに不満を募らせていた時、後輩のカノンからアプローチされ、ナツミと別れてカノンと付き合うことを決心する。
______________________
【山神あきらの視点】
あきらが家に帰るとカノンからラインが届いた。
「あきらさん!これから付き合うにあたって確認です。連絡頻度とか会う頻度はどのくらいがいいですか?」
「うーん。あまり気にしないからお互いが好きな時に返せていけたらなって思う!会う頻度もお互いの忙しさとか考慮しつつって感じかな。今は俺も就活あるから2週間に1回とかがいいかも!」
「了解です!」
「後さ、付き合ってるからタメでいいよ!全然」
「そうですよね笑 タメにしていきます」
凄いぎこちない。でも初々しくて可愛いし、これから関係を築いていくのはとても楽しみだ。
2週間後。カノンとの初デート。恵比寿ガーデンプレイスでゆっくりお茶してデートを楽しんだ。
手を繋ぐ時のぎこちなさ。カノンが必死にこちらの様子を伺っている。それが可愛くて、そして新鮮で楽しかった。
その時、あきらはふと思った。
(あれ、この感じどこかで、?)
心では分かっていた。どこで経験した感情なのかということを。でも必死に分からないフリをしていたのだ。
______________________
【松本ナツミの視点】
ナツミは同じサークルの友達からあきらがすぐにバイト先の後輩と付き合うことになったと聞いた。
「ねえ!早くない?流石に。」
友達はナツミを心配してそう言ってくれたがナツミはそれを聞いても何とも思わなかった。
むしろ何とも思わない自分が嫌だった。ショックを受けたかった。
あきらが新しい彼女を作った事よりも4股された元カレの事を思い出してしまっていた。そんな自分も嫌だった。
友達はすぐに察して助言をくれた。
「もしかしたら、前の彼の事、まだ吹っ切れてなかったんじゃない?それであきらを好きになれなかった。4股した浮気男だから嫌いになりたかったのになれなかった。そんな自分が嫌だったんじゃない?」
友達の発言は的を射ていた。自分ではそうじゃないと必死に思っていたが、まだ浮気してきた元カレの事が忘れられなかったのだ。
その場でナツミは泣いてしまった。
「ごめん、、」
泣いて謝るナツミに友達はそっと寄り添った。
「良いんだよ。いっぱい泣きな」
友達はそう言って何度もナツミの背中を撫でていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます