第9話 突然の別れ
キスされてカノンは戸惑っていた。あきらも瞬発的に自分がやってしまったことで、頭が追いつかなかった。
「ごめん。急に。やばいな。今のは流石に」
「大丈夫です。二人の秘密にしましょう。で、もうこういうのは無しにしましょう」
あきらは少し間を空けて話した。
「あのさ、俺、別れようと思う。今の彼女とちゃんと話して円満に別れようと思う。だからさ、もし別れたら付き合ってよ、、
カノンといて本当に楽しいし落ち着くんだよね」
カノンは驚いた表情をして固まっていた。
「ごめん!勝手過ぎるね。俺。」
その言葉に被せるようにカノンは「いいですよ!!」と言った。
「いいですよ!付き合いましょう、私たち。ただちゃんと別れてきてください。浮気みたいなことは今日で勘弁です」
「もちろん。ありがとう!」
そう言ってあきらは走り出した。あきらはナツミの家まで走り、チャイムを鳴らした。
ナツミは出てきて「ごめん。お兄ちゃんいるから今は無理。何か用?」
と言った。
「大事な話しにきた。今、ダメかな?」
「ごめん。今は本当に話したくない、、
ドタキャンしといてごめんね。でももう分かってるでしょ?」
「なにが?」
「別れた方がいいってこと。それを言いにきたんだよね?」
「そうだけど、、聞きたいこととか色々あってさ。諸々話したいんだ」
「ごめん。無理かも。別れよう」
そう言ってナツミはドアを閉めた。
話し合うことを拒絶された、そんな感覚だった。
別れることを決めていたはずなのにこうもあっさり別れを告げられると虚しくなってしまう自分がいた。あの時好きって言ってくれたのは何だったんだ、結局一度も好きになれなかったのか、色々な疑問が飛び交ってモヤモヤしていた。
「話し合いしたい。好きだよ、、」
無意識のうちにあきらの口から出ていた。
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【松本ナツミの視点】
ナツミは家で泣きながらお兄ちゃんと話していた。
「別れたんだね。やっぱ好きになれなかった?」
「うん、、好きかもって思う時もあった。好きって言い続ければ好きになれるかも…とも思った。
でも無理だった。そう思い込もうとすると苦しくていつの間にか彼を拒絶しちゃってた。
何でだろう。凄く良い人だったのに。好きになれたら絶対幸せになれるのに、、」
ナツミはそう語りながら涙を何度も拭っていた。
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