第41話 残るは3人
「みぃつけた、じゃねぇよ! 今、どこにいたんだ? 宙に浮いていたのか? 俺に乗っていたのか? どっちだっ?」
という直樹の問いにあの子は一切答えず、身を翻し、いつものように山荘へと歩いていく。
直樹の中に怒りと悔しさが込み上げてきて、両手の握りこぶしに力を込めた。
「くっそーーーっ!」
それから脇目も振らず坂道を下った。
ぜぇぜぇ息を切らしながら山荘に戻った。
すると、
直樹はそれを聞き、ほっと息を吐いた。
葵と莉奈には言えないが、救助を期待しての安堵ではない。
あの子に振り回される形とはなりつつも、直樹の願っていた通りに物事が進んでいるということへの充足感だった。
もう少しで、
この山荘を手に入れた真の目的を達成することができる――。
◇ ◇ ◇
「次、あの子が現れたら、誰が行く?」
直樹がポリタンクの水を手に取り顔を洗っていると、莉奈が落ち着かない様子で尋ねてきた。
「誰でもいいよ。俺は二人に合わせる」
ふと空を見上げると、目が慣れたのか、日が昇り始めているのか、少し明るくなったように感じた。
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