お前もか
昼のチャイム。
メシ、どうすっかな。食いに行くのも買いに行くのもめんどくさい。
……
心配してくれたんだし、メシを食う時のあたしの表情はヤバいくらい幸せそうだってみんな言ってたもんな。メシを食わせりゃ元気になると思うのは当たり前だわ。
あれ。
敦いねえ。
つか、佳奈以外誰もいねえ。
「佳奈、敦たちは?」
「外で食べるって出たよ。ゆちか、
「全然楽しくねえっての。こっちは落ち込んでるってのに、ハトポッポだとか何とか言いやがってさ……!」
「あはは、まあまあ」
「でも、言いすぎた。心配してくれたのに」
ニコニコ笑ってら。
佳奈の笑った顔、やっぱ癒されるわ。
怒らすと怖えけど。
「帰ってきたら謝るよ」
「そうね、さすがゆちか。エラいエラい」
「頭撫でんなや」
「それはそうと、お昼どうするの?」
「あんま食欲ないんだよ」
「元気ないなら、さ。気晴らしにちょっと付き合わない?」
うーん。
めんどくさい。
でもなあ。
教室で寝てたいっちゃ寝てたいけど、そしたら午後もユーウツなままだ。敦と仲直りしても、
それはダメだ。
あたしの、ただの八つ当たりだ。
よし。
「どこ行くん?」
「ご飯食べようよ。行きたいところがあるの」
「おっけ。任せていい?」
「おっけ。今調べるね」
佳奈、あたしたちにはよく付き合うけど量は食べないしな。オシャレなカフェとかよく行くって言ってたから、それ系か?
たまにはそういうのもいいな。
でも佳奈んちって金持ちで、しれっとお嬢様なんだよな、コイツ。さらさらセミロングの黒髪に、パッチリおメメ。かと言って、気取ったりお高く止まる事など全くない。
天然で危なっかしいところもあるが、アドバイスをくれる時は冷静で的確。バカ騒ぎが好きなうちらの、貴重なご意見番である。へへー。
あれ?
でも待てよ?
御用達の、クッソ高級なレストランとか連れてかれないよな?
財布の中、いくら入ってたっけ。
あ、クレカある。
やだよ、もしも用に持ってるだけなんだって。
佳奈、ガチでお手柔らかに頼んます。
ちっと不安もあるけど、少し元気が出てきた。
ダチってホント、ありがてえ。
●
「え?」
「どしたの? 早く入ろ?」
「いやいやいや!」
「一回来てみたかったの」
全メニュー、食べきったら無料か賞金付き。ガッチガチのマシマシのラーメン屋じゃねえかよ!
「ゆちか、元気出るかなって思って」
おい。
お前もか。
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