次話について/残念なお知らせ
次話の更新は、2000字程しか書いていませんけれど(言い訳から始まると女子は嫌がりますけれど)、止めておこうと思います。
何故なら、私の習作からの盗作が見られたからです。盗作といっても無断ではありません。自分の記憶を自分で盗めるものならば、セルフパロディというのかもしれませんが、こっちからしては同じです。
代わりと言っては何ですが、同じ題材で今度はもう少し
キーワードは「予感と自白」です。加えてある歴史上の人物と、ある冒険譚が関連していると明かしておきましょう。では投稿予定だった最終話からワンシーンを引用して手を振りお別れを。
ピース・アウト
◆
――からん、と鳴ったのはドアベルであるのだが、その時丁度グラスを手にしていた私は、素敵な音の出元は自分の左手にあると錯覚した。彼女はその音を聞いて顔を上げ、同級生のグラスが鳴ったのではないといち早く気付くと途端に興味を失くしたようである。
「それって意味無いよ」
「そうかな?」
「じゃあどうしてさ、氷だけ無料で置いてあると思う?」
「有料なら誰も使わないじゃん」
「惜しいね」
「違うの?」
「んー。話変わるけど、高い店のソフトドリンクって大体氷入ってるよね」
話変わってないじゃん、と私は思った。店の入り口に入って見える会計口、その斜め向かいにはセルフサービス用のカウンターがあり、何が楽しいのか好きな色水をグラスに注ぐことが出来て、私たちの席はそこの裏手に当たる。寂れた地方都市の独立系ファミレスに詳しい人々というのがいて(私は経験値だけで語っているが)、統計に因ると有名な看板を下げていない店はシームレスな空間の広がり、客席と厨房との空間的繋がりと自由度の高いサービスを売りにしている。
この店はそんな教義を面白いほど忠実になぞっていた。
「ねえ」
「ん」
「どうしてこの店入ったの」
「何?」
「ど・う・し・て、この店入ったのって」
「他のトコが良かった?」
私には世間話の才能が無いな、とつくづく思う。けれど、料理に手を付けてから始める話題ではなかったのかもしれないなんて口にしてみないと分からない。
「別に何処でも良いんだけどね」
「ああ、気になったんだ。そうでしょ」
「ていうか――」「ここのカレーがね」
おっと。
「――カレーが?」
「珈琲と合うから」
それは此処だけの話ではないだろう。
「それは此処だけじゃないでしょ」
「だって、本当にそうなんだから」
「隠し味とか?」
「ん?」と彼女は聞き返した。同じことを二度言うというのはエネルギーを使うし遣り所のない苛つきが齎されるので、以降私は頬の筋肉を酷使することにした。
「あのね。他の所とは、何か違うのかって」
「違いかー。んとねぇ」
「今考えてるでしょ」
「いやいや。ああほら、アレ見なよ」
彼女は先のカウンターを指差し、その指先を慎重に延長していくとあるポスターに行き当たった。
『玉ねぎカレー、お替り無料!』
どうぞ、隣を空けて頂いて構いません 三月 @sanngatu
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