第二章 駅舎の花売り

-prelude-

 また君に会いに来るよ。あなたはそう言ったわね。


 どいつもこいつも似たようなことばっかり言うものだから、わたしだってちっとも期待なんてしていなかったわ。

 どうせ口ばっかり。

 どうせその場限りのでまかせだってね。

 どうせ約束は守られない。どうせ約束は破られる。


 だけどあなたはまっすぐにわたしの目を見て言ったわ。

 また君に会いに来るよ、って。


 だから信じたかったの。ずうっと待っていたかったの。あの小さな町で。

 金色の穂の海の中で、わたしはずうっとベンチに座って待っていたわ。


 汽車に乗ってやってくるあなたの姿をずうっと待ちわびていたのよ。

 ねえ、あなたはわたしのそんな気持ちを知らないでしょう?

 ねえ、あなたはわたしの悔しい思いを知らないでしょう?


 すこしずつ衰えて枯れていくわたしの傷みを見て――あなたは眉を顰めるのでしょうね。

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