第7話

「そんなはずないやろ? カードは一人1枚やろが!」

 クリハラがコーセイに食ってかかる。

「なんだ、オレはてっきり引いたのはお前らの誰かと思ったぜ。意外とルールを守るんだな。青信号でちゃんと横断歩道を渡るタイプか」

「なんやとコラ!」

「まあ聞けよ。このゲームの【配役】は14。だのにオレたちは13人だ。ひとり黒焦げになったからな」

「そ、そうか。ヤスシの分か!」

「それに気付いてオレは一番最後に引いたんだ。しかし1枚しか残ってなかった……つまりはそういうことだよ」

「じゃあお前の他にも、それに気付いた奴がおるっちゅうことか。しかしそいつはどうなる?」

「まあ、色々考えられるが、生き延びる確率が高くなったってことは間違いないだろうな。一度死んでも復活できるってことだからな」

「そんなんいくらなんでもイカサマ……」

「待て待て、よく考えろクリハラ。これはオレたちにとってもチャンスなんだぜ。対戦相手が想像もしていない鬼手・・だ。不正だと騒ぐよりうまく使うべきだ。ここは無法地帯の中東どころじゃねえ。異世界ってやつなんだぜ?」

「それは……確かにそうなんやが」

「それに上の連中・・・・も知っていて止めないならこれはアリってことだ。元々は神様同士の戦争なんだろう? 勝ちたければこのぐらいのことは目こぼしはするだろうよ。当然相手も何かやってると思ったほうがいい」

「どこまでも食えんやつじゃのう。まったくその嗅覚だけは一級品やな」

「そうでなきゃ生きてこれなかったからな。誉め言葉と受け取っておくぜ。……だが見ていてオレの言葉に反応した奴はいなかった。2枚持ちも一筋縄ではいかない、オレ以上のタヌキかもな」


 これで『チーム』は4つ。S高『チーム』とサッカー『チーム』、オッサン『チーム』とコーセイ1人のはぐれ『チーム』だ。


『決まったようですね。では向こうに移動しましょう。ご武運を』

 女神に告げられ、13人は【ギャンビット・ゲーム】の決闘の舞台に転移した。

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