第10話:予期せぬ出来事。

今日も通学時に玄関を出るとき、リボンちゃんがいつものおまじないみたいに

僕にハグとチューをくれた。

そうすることは、それは僕とリボンちゃんの日々のルーティーンになっていた。


「じゃ〜行ってきます」


「行ってらっしゃい、車に気をつけてくださいね」


ところが・・・リボンちゃんが言ってた・・・


「あ、そうだ、もしかして通学中に事故にでもあって 巻き込まれて

圭介さんが死んじゃったら、そしたら私エボンリルに帰れなくなります」


って・・・その言葉が現実になった。


韓流ドラマによくある主人公が交通事故に遭うってパターン・・・。

ご多聞にもれず僕もそうなったみたい。


いつものバス停からバスに乗って僕は大学に向かっていた。

信号が青になってバスが進み始めたところに持ってきて赤信号なのにもかかわらず

大型トラックがバスの横っ腹に追突して来て、すごい衝撃でバスは3回転くらい

横転した。


僕は席から投げ出された瞬間までは覚えていたけど、それからの意識がなかった。

目が覚めたのは病院のICUのベッドの上だった。

なんとか意識は取りもどしたようだけど、身動きが取れない。


なんだか物々しい機械につながれて、その機械がピーピー鳴ってるし、点滴と

輸血の針が腕にささってるし・・・ああ、そうかバス・・・事故ったんだ。


僕はどうなっちゃうんだろう?


それから数時間後、僕はICUから個室病棟に移された。

で、僕が事故ったと知らせを受けた、おふくろとリボンちゃんがそばにいた。

家族ということで面会が許されたみたいだね。


初めて顔を合わすおふくろとリボンちゃん、なんて説明したか知らないけど

違和感なく二人仲良く揃っていた。


リボンちゃんは機械につながれて包帯だらけの僕を見て泣いた。

泣かなくていいよって言ってあげたかったけどクチも聞けない状態じゃどうしよう

もない。


おふくろはパートがあるからと僕をリボンちゃんに託して帰って行った。


「圭ちゃん・・・大丈夫?・・・死んじゃ嫌だ、圭ちゃん」


どうなんだろ、僕このままあの世にいっちゃうのかな?


「どんなことがあっても絶対私が助けるから・・・」


(その気持ち、その想いが愛だよリボンちゃん・・・)


「え?・・・今はそんなのどうだっていいんです」


(そうか、しゃべれなくても僕の思ってることがリボンちゃんには分かるんだった)

(僕は大丈夫だからね・・・心配いらないから)

(リボンちゃん救済しなきゃいけないことがひとつ増えたね)

(もし僕が無事退院できたらリハビリって救済が待ってるよ)


「圭ちゃんが元気で帰ってきてさえくれさえしたら私はそれでいい」

「圭ちゃんにもしものことがったら・・・私・・・」


すぐにでも起き上がって、僕は大丈夫だよってリボンちゃんを抱きしめて

あげたかった。


でもこんなことが現実になるなんて・・・。


愛とか、なんだとかそんなことは言ってる場合じゃなかった。

せめてリボンちゃんをエボンリルに返してあげたかったのにできそうもない。

僕は下手すると、このまま植物人間かはたまたはあの世へ行っちゃうかも

しれないだろ?・・・。


リボンちゃん・・・僕はもっと君と一緒にいたかったのに・・・もっとラブラブ

していたかったのに・・・。


その夜遅く、僕の容体は悪化した。

医者は必死で僕を救おうと頑張ってくれたけど結局心肺停止で蘇生も虚しく僕の

心臓は再び動くことはなかった。


とぅ〜び〜こんて乳。


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