第3話

「私って、足けっこー速いんだよね。逃げ切れるかな?ねぇ…?」

「行くぞ、秋野!」

「…うん」

しかし。白石安奈はやはりすごく速く、忠司はすぐ捕まった。

「タッ-」

「…お返しー」

忠司はギリギリで剣を召喚し、安奈を撃退したのだ。

安奈の体は横にバタリと倒れ、墓らしき物が現れたと同時に、遺体は風に飛ばされて塵になって消えた。

「…怖かったぁ…」

ピコンピコン

白石安奈シライシアンナが騎士により葬られました】

「よかった…これで安奈さんに捕まった人がいなければ、狂人もういないじゃん」

【白石様は[狂人]でした。狂人が消えたので、ランダムで1人追加されます】

「そんな…」


(デスゲームって…面倒くさー。明後日梅桜ウメザクラのライブなのに。しかもファンと触れ合えるサイン会なのにー)

そう思っているのは、人気アイドルグループ{梅桜}のメンバー、【may】こと柴田芽衣しばためいである。

芽衣はショッピングモールで買い物をしていたが、急に失神。デスゲームに巻き込まれた。

(まあ、私は[逃亡者]。足も梅桜のメンバーの中では一番早いし。逃げ切れるでしょ)


一方。鬼、木下美鈴は新しい裏切り者、山本大地やまもとだいちと手を組んでいた。

「大地君って、殺したい人とかいる?」

「僕は…義父、酒井和司さかいかずしを殺したいです。このゲームに参加しているはずです」

いつも優しそうな大地の目つきが、険しく、鋭いものになった。

「そう。なら連れて来ないないとね。じゃあ、

〔鬼能力:ワープ/山本大地←酒井和司〕」

スマホでそう打ち込み、送信すると、大地の目の前に酔ったおじさんが現れた。


大地は虐待されていた。


大地がまだ2歳の時、母、山本地咲やまもとちさきが病死。さらに、3歳の時父、山本大輔やまもとだいすけも交通事故で亡くなった。

その後、施設に。しかし年上の子供達数人にいじめられた。施設側も気にしなかった。

時は経ち、大地は8歳に。小学校では上手く行っていた。成績も学年トップだった。

いじめて来た年上の子供達は施設を出た。

しばらくは安心して過ごしていたが。

施設は潰れ、皆引き取られる事に。

そこで、大地は和司に引き取られた。

これで、幸せに暮らせる。

大地はそう思っていた。

-実際は、ただの雑用係。

和司は何をやっているかというと、酒を飲んでは酔っている。

ちなみに、大輔を轢き殺したのもこいつだ。


ある日、和司の家を抜け出し、例のショッピングセンターに行った。しかし、和司に見つかり、逃げた。愛香と真央を通り越して入った瞬間、意識を失った。

そして、現在に至る。


「大地…おめぇ、可愛い子と話しちゃって…俺に従うつもりはないなら、その女ごと殺して-」

「私を殺す?私の間違いじゃない?」

そう言った瞬間、美鈴は和司をタッチ。呻き声一つあげる暇無く和司の体がドロドロ溶け、代わりに墓が現れた。

「気持ち悪っ」


【酒井和司が鬼により葬られました】


「鬼?美鈴ちゃんと新しい協力者?大地君だっけ?が倒したのね」

「俺らも数人、やっちゃおうぜ」

「そうね。とりあえず、あのグループ狙おう」

「〔鬼能力:光線〕」

グループの体は透け、消えた。

【鬼2名により7人が葬られました】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

葬ゲーム 額田兼続 @Nekofuwa-jarashi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ