第9話 同じアイス

☆神嶋徹(こうしまとおる)サイド☆


住山紅葉。

俺は彼女のイジメを深く知っている。

どんな目に遭ったかというと先ず銀髪の事を馬鹿にされたのもあるが母親が居ない事をイジメられたのもある。

だから紅葉ちゃんは助けを求めていた。

そして引き籠った。


だから俺は紅葉ちゃんを助けたいって思う。

俺は思いながら人込みを見て青ざめる顔を見ながら「大丈夫か」と聞いたりしてサポートしてからコンビニに来た。

それから俺は顔を上げる。


「よお」

「やあやあ。その子かい?」

「そうだな。例の子だ」


目の前を見ると髪の毛を結んだポニテのそばかすの女子が居る。

このバイト店員の彼女は杉山美玖(すぎやまみく)という。

俺の知り合いの女子だ。

その女子を見てから驚く紅葉ちゃんを見る。

紅葉ちゃんは「知り合いですか」と聞く。


「うん。私は徹っちの知り合いだよ。紅葉さん。私は杉山美玖。宜しくね」

「...名前...」

「徹っちから大体は...聞いているよ。君はイジメを受けていたってね」

「そうですね」

「私は高校を中退した少女だよ。私もイジメを受けていたんだ」

「...え!?」


紅葉ちゃんは唖然としながら美玖を見る。

それから複雑な顔をしてから横を見た。

すると美玖は「大丈夫だよ」と紅葉ちゃんに言い聞かせた。

そして笑顔になる。


「そんな深刻にならないでね。私は後悔だけど...だけどそんなにダメージ無いから。今は通信制の高校に通っているしね」

「...そうなんですね」

「...そう。...でもその事もあって紅葉ちゃんの事が可哀想だなって言ったら駄目だけど本当に複雑だなって」

「...」


美玖はそう言いながらやって来る。

それから紅葉ちゃんを見た。

紅葉ちゃんは「学校辞めるのは怖く無かったですか」と聞く。

その言葉に美玖は「怖かった。だけど...あのままじゃ私は自殺していたから」と苦笑しながら紅葉ちゃんを見る。


「紅葉さん。嫌ならはっきり嫌って言ってね。私の事はお姉ちゃんと思って頼って」

「...その。美玖さんはどうしてイジメを?」

「同級生をかばったらいじめられたってパターンだね」

「...その同級生は...」

「転校したとかじゃない。自殺した」


美玖はそう言いながらショックを受けている紅葉ちゃんを見る。

紅葉ちゃんは「そんな」と絶句している。

その姿に美玖は「だから嫌な事ははっきり嫌って言わないと駄目。絶望が前にあるならそれを超えないと駄目だけどたまには休息も必要だよ」と悲しげな顔をする。

俺はその姿を見ながら考える。


「...そんな事って」

「この街で前に自殺した女子生徒のニュースがあったでしょ?あれは...私の友人だった人のその子のニュースだった。自殺のお陰で第三者委員会も設置されたよ」

「...そうだったんですね」

「死んでじゃもう遅いからね。だからその分、休む事が必要って事だよ」


コーヒーの蓋などを補給しながらそのまま苦笑する美玖。

俺はその姿を見ながら目線を逸らす。

すると紅葉ちゃんが美玖を見た。

それから「私は強くなれますかね」と聞いた。

美玖は「当たり前だよ。私達と強く一緒に強くなろうね」と笑顔で答えた。


「...それから」

「...?」

「...紅葉ちゃんのその感情も応援したいな」

「...その感情...えぇ!?」


紅葉ちゃんはハッとしてから真っ赤になる。

俺は「え?何の事だ?」と訳も分からず美玖を見る。

美玖は「男子禁制」と言葉を発する。

その言葉に俺は唖然とした。

何だよ一体!?


「...その。気が付いたんですか」

「そりゃまあね。...その態度と聞いた話ではね」

「...あぅ...」


紅葉ちゃんは真っ赤になりながら蒸気を発した。

俺は訳も分からないままだった。

そして2人を見ていると店長らしき中年の人が「美玖さん。ゴメン。これ商品棚に運んでくれるかな」と笑顔で言ってきた。

美玖は返事をしながら俺達に手を合わせる。


「ゴメン。仕事やってくるね」

「ああ。こっちこそゴメンな。美玖。忙しいのに」

「...ううん。そんな事はないよ。紅葉さんと話ができたしね」

「...ああ。サンキューな」


それから美玖は仕事をしに行った。

俺はそんな姿を見送ってから紅葉ちゃんを見る。

紅葉ちゃんはアイスコーナーを眺めていた。

目をキラキラさせている。


「...買おうか」

「...え?い、いや。良いよお兄」

「...まあ暑いしな。アイス食いたい気分だ」

「で、でも...お金が勿体無い」

「お前の姉から散々お世話になっている。これぐらいはな」


そして「アイスどれ買おうか」と聞いてみる。

すると紅葉ちゃんは唇に手を添える。

それからモジモジして「同じアイス」と答えた。

同じアイス?


「お兄と同じアイス」

「...へ?!」

「...が食べたい」

「...な、何で俺と同じもの?」

「そ、それは内緒」

「...!?」


俺は唖然としながら紅葉ちゃんを見る。

そして俺は紅葉ちゃんと同じものを購入というかそうなった。

森○製菓のジャ〇ボ。

これが好きだからな俺は。

だけど何で同じもの?

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フリマサイトでスマホを買ったら何故か幼馴染が届いたんだが? アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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