第37話 【奏多】デートのお誘い?

定時のチャイムと同時に身支度をし、フロアを出る。


最近俺は、暇すぎて、仕事帰りに近くの漫喫に寄るのが定番になっていた。

家に帰っても、仕事のことや主任やひなの事を考えてしまい落ち着かないので、外にいる方が気晴らしになる。


このまま俺はずっと暇な平社員なんだろうか。最近は、後輩に指示するほどの仕事量もない。


主任は毎日遅くまで残っているが、定時後に俺に仕事を振ってくることはない。俺と一緒にいたいはずだが、上司としてのプライドなのか、優しさでそうしているのかは、よくわからない。



お気に入りの漫画の最新刊を読んで、ビリヤード台に向かった。

ダーツでは俺は神山部長に勝てない。

ならば、別の趣味で勝ちに行く。

俺が1番になれるものがあれば、女性陣の視線も集められるはずだ。


ひなにもふられ、主任にも部長にも勝てない俺は、現実逃避に走り始めていた。


しばらくして、時間をみようとスマホをタップすると、入ってから1時間半が経過していた。

ずいぶんと集中してしまった。あと30分で出ないと。




‥ん????



俺はスマホの待ち受けを二度見した。





🔲沢崎陽奈






ひなからLINEが来ている!!!!

2回も断られたのに、なんで!!???



俺は大慌てでスマホに手を伸ばし、2回も落として拾い上げた。



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奏多さん、この前はせっかくご連絡頂いたのに都合がつかず、申し訳ございませんでした。


土日は難しいんですが、金曜日とかなら大丈夫なんですが、いかがでしょう。

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うっそーん!!!!


まだまだ、脈ありじゃない!??


俺ははやる気持ちをおさえて、余裕のある男を演じた。



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ひな、連絡ありがとー!!!!

今仕事終わって、これから帰るところ。疲れたー!!

俺のことは、全然気にしないでいいからね!!


金曜日、OKだよー。

今のところ、ちょっと忙しそうなんだけど、ひなのために、業務調整して行けるようにしとくわ!!また連絡するね!

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ひなのほうから連絡がくるなんて、初めてじゃないだろうか。しかも、デートのお誘いじゃないか!!??

「神山部長も」とか書いてないし!!!!




俺は嬉しすぎて、その場でガッツポーズをして雄叫びを上げた。

「おっしゃー!!!!」


 




隣でビリヤードをしていたカップルが、キモイ生き物を見るような蔑んだ目で俺を見た。




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