第24話 感情が迷子になっちゃうよね
本日4話更新です。4話目。
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「見えるか? あれがオレの拠点だな」
「タイガさん。何と戦うつもりなんですか?」
「わぁ。映画のセットみたいですよ! アキトさん!」
「ちと約束もあってさ。張り切ったらでかくなったわ! 一人だと止め時見失ってな!」
「一人で作ったんですか!? 張り切ったってレベルじゃないですって」
アカギ・タイガさんに連れられて、意識を取り戻したカノさんと共にタイガさんの拠点に運んでもらった。
目覚めたカノさんは、急に仲良くなっているタイガさんと私を見て困惑する。
拠点で保護してもらえることに感謝していたけど、やっぱり北海道なんだと涙を浮かべていた。
わかる。一気にいろんな事があって、感情が迷子になっちゃうよね……
タイガさんは弟と同じ「飛行」も使えた。
カノさんと私を小脇に抱えて、薄っすら光るバリアを張りながら空を飛んだよ……この人どうなってんの?
民家や避難所もない山に向かって飛ぶから、良からぬことかと少し焦った。
カノさんか私の体の硬直から、緊張を察したのかタイガさんは、
「実家が山の麓にあるんだ。今さらお前らを誘拐だのなんだのしねぇっての」
と、私たちの緊張を解すように、笑いながら拠点まで運んでくれたけど……見えてきたのは要塞だった。
鋼材や丸太で、全面を補強された一軒家。
一軒家を中心にぐるりと円を描いて、隙間なく地面に突き刺さる雑に切られた大きな木が、鋼材も併用して防壁を作っている。
防壁内の敷地もかなり広く、広い畑もある。
いくつかの小屋なども建ち、なぜか小川も敷地内の端に流れている。
一人で作ったって言っているし、タイガさんマジで何者?
「かぁちゃん! 帰ったよー! 客連れて来た!」
「おかえりー! ……タイガ! こんなめんこい子誘拐したべか!?」
「ちげぇよ! 助けたの! 人助け! 変なこと言わんでよ。二人が怯えんだろ」
「行く宛がない所をタイガさんに助けていただきました。シキ・アキトです。タイガさんは命の恩人で……急に押し掛けて申し訳ありません」
「カノ・ミライです。アカギさんにはとても危ないところを助けていただいて、私たちの命の恩人なんです。今もお世話になり続けていて……」
「あー! ごめんごめん! あなた達を困らせるつもりはないんだよ。頭を上げとくれ。あのタイガが人助けかぁ、大人になったんだべなぁ ……顔真っ赤になってるべ」
「もういいだろ! アキト! カノ! 案内するから付いて来い! ニヤニヤすんな!」
照れたのか、顔を真っ赤にしたタイガさんに客間に案内される。
「客間は一部屋しかねぇけど問題はないよな?」
「大丈夫です! アカギさん! ありがとうございます!」
「お、おう。カノが大丈夫なら良かったよ」
「い、いやカノさ」
「さ! アキトさん! 荷物を置かせてもらいましょう! アカギさんのご家族に改めて挨拶をしなければいけません! これ以上アカギさんにわがままは言いませんよね!」
「……はい」
「そ、そんじゃ、オレも荷物置いてくるから、待っててくれ。 ……付き合ってんじゃねぇのか?」
有無を言わせぬカノさんに押し切られ、一緒に客間にお邪魔することになった。
たしかに、これ以上タイガさんにわがままは言っちゃ駄目だな。
タイガさんがいなければ野宿だった。それ以前にあの洞窟で死んでいたんだ。
女性と一緒の部屋は緊張するけど、カノさんとは自宅拠点でも一緒に生活していたから、なんとでもなる……よな?
「アキトさん、ごめんなさい。迷惑でしたよね……」
「迷惑なんかじゃないよ。カノさんが言ったとおりこれ以上タイガさんに迷惑はかけられないから。むしろおれの気が利かなくて、ごめんね」
「……イです」
「ん? なにかあった? 気が付いたことがあればなんでも言ってよ」
「ミライです」
「うん、ミライさんだよね? あー、これからはミライさんって呼んでもいい?」
「はい! アキトさん!」
なんて一幕もあったけど、好意を寄せられている? いや! 勘違いするなよ! 落ち着け私。
距離感が近くなったからって、あからさまに態度を変えちゃ駄目だ。
突然新潟から北海道に移動して、命の危機に陥った。
身近な存在も私だけで、吊り橋効果的ななにかがあるんだと思う。
現に私も浮つくというか、彼女に縋りたいと思ってしまっている。
カノさん……ミライさんはまだ二十の若い女の子だ。
タイガさんに助けてもらったけど、不安になるのも当たり前だ。
いつの間にか、お兄さんからアキトさん呼びになっていたけど、彼女の不安が表れているからじゃないか?
勢いで関係を持ったりなんかしたら……
「おーい! 準備できたかー!」
「ひゅい! だ、大丈夫です! 今行きます! ミライさん行ける?」
「はい! 行けますよ、アキトさん」
タイガさんの呼び声に驚いて、変な声が出てしまった。
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都道府県で唯一「道」を冠し、日本一の面積。
農畜産物の多くで日本一位を獲得している。食料総生産量、自給率など不動の日本一を誇る。その産出額は一兆円を大きく上回る。
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