第43話 可愛い

「ほ、本当に宮村なのか?」

「はい、宮村です。先輩〜早く行きましょ。」


 手を引かれなが、デパート内に入っていった。と言っても、何をするか決まっていないので、適当にデパート内をぶらぶらする予定だったのだが、いきなり宮村が女性物の服屋さんに向かった。


 いつもなら、すぐにゲーセンとかに行くのだが、本当に変わったんだな〜っと思いつつ、いつも通り接することにした。


「先輩、これとか可愛く無いですか?」

「あ、ああ。可愛いいと思うぞ。」


 宮村は、試着室に入った。


「ど、どうですか?先輩。」

「お、おお。」


 こんな時でしか着ないであろう服を見せられて、悔しいが可愛いいと思ってしまった。いつもは、男っぽいのにも関わらず、急にそんな女の子らしくされるとドキッとしてしまう。


「か、可愛いいじゃないか。」


 俺は、照れながらそう素直な気持ちを伝えた。


「えへへ〜先輩もっと褒めて褒めて〜」

「可愛いぞ〜」



ック....犬みたいで可愛い。


「先輩の家でゲームしよ〜」

「ああ」


デパートでの買い物を終えて、俺の家に行くことになった。


「先輩!!先輩!!それ以上はダメだって!!も、もおお...先輩手加減してくださいよ....」

「あははは〜勝負の世界では手加減という言葉は無い。」

「ううう...」


いつもは、負けても負けず嫌いな宮村だから、泣かないのだが、今日の宮村は涙目になっている。


「ご、ごめんって」

「先輩のバカ」


そういって、俺の腕に胸を押し付けて、同情を誘うような顔で見つめてきた。


「な?何がの望みだ。」

「えへへ〜先輩。実は私....先輩と1週間も喋れないの寂しかったの。寂しくて、どうにかなりそうだったの!!だから、だからね。先輩、私とキスしてくれませんか?」

「え!?」

「いいでしょ。」


お願いされてしまった。


だが、俺にはそんな勇気はない。だけど、宮村は準備満タンなのか目をつぶりキスされるのを待っていた。


やるしかないのか...


俺は、勇気を振り絞り宮村の頬にキスをした。


「えへへへ〜先輩の意気地無し〜♡」

「したんだから、いいだろ。」

「じゃあ、僕は帰りますね。」

「ああ」


*******


せ、先輩といつの間にかキスしてた!!


ど、どうしよう!!記憶喪失みたいな感じになっていたとはいえ、あんな恥ずかしいことを!!


それに、こんな可愛い服...僕が来てるの恥ずかしいよおおお!!


だけそ、先輩が可愛いって言うなら....


宮村は、キスをされたことにより、いつの間にか記憶を取り戻していた。






 

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