第15話 ダンジョン配信1日目

「スズ、10m前方から敵3体来てる。」

「了解なの!」


下層に入って数分、今日初めてのモンスターに出会った俺達。


:うわ精鋭蜥蜴人リザードマンエリートじゃねぇか

:やべぇじゃん

:こいつ普通に鱗硬いし動き早いしおまけに火魔法使ってくるんだよな……

:これぞ下層クオリティ

:しかもそれが高確率で集団で現れるから殆どの場合逃げるのが妥当なんだよな……Aランクから上のあたおかを抜いて

:高ランク探索者をあたおか言うなw


「精鋭蜥蜴人をやばいだの何だとか言ってるけどそこまでなのか? ただ硬くて火魔法使ってくるトカゲ頭だろ? それよりちゃんとスズとシズの事を見ろ!」


そう言って俺はコメントから精鋭蜥蜴人とスズとシズの方へ視線を向ける。


『『『Zasyaaa』』』

「スズは魔法であいつらの目眩しお願い、私は奇襲で真ん中と右を倒すからスズは左ね?」

「分かったの!」


シズがスズに作戦を伝え短剣を両手に構える。

シズから作戦を聞いたスズも両手に鉤爪クローを装備し、魔法を展開する。


「ズズ、3……2……1……今!」

「はいなの! 『閃光フラッシュ』」


シズの合図と共にスズの『閃光』が精鋭蜥蜴人の目を眩まし、スズが左の一匹へ距離を詰める。


「『麻痺パラライズ』! 『空間圧縮』+『迅雷加速ボルトアクセラレーション』!」

『Zasya!? Syaaa!! Za……』


距離を詰めると同時に『麻痺』で精鋭蜥蜴人を痺れさせて動きを封じ『空間圧縮』で空中に足場を作り『迅雷加速』でさらに勢いを付け精鋭蜥蜴人の頭をバラバラにした。


シズの方は


「『完全隠密パーフェクトステレス』」


スズの『閃光』の光を陰に『完全隠密』で残りの2体の背後へ走る。


「『闇へ誘う鎖ダークネスチェーン』」

『『Zasa!?』』


移動中に『闇へ誘う鎖』で2体に『盲目』と『侵食』の『状態異常』を付与し動きを封じる。


「まずは一体目」

『Zasyaaaaa!!』


背後から右の精鋭蜥蜴人の頭を両手に持っている短剣で深く突き刺し絶命させる。


『Zasyaaaaaa!!!!』

「今更怒っても遅いよ」


仲間を殺され怒った精鋭蜥蜴人だったがその時にはもう短剣が首に切られていた。


「シズー! こっちは終わったの!」

「ん、こっちも終わった!」

「2人共お疲れ様! 怪我は無いか?」


戦闘を終えた2人に分かってはいるが一応怪我がないか聞く。


「ないよー!」

「全然大丈夫」

「上出来だ一旦休憩と今の戦闘の反省会をしよう」

「分かったの!」

「はーい」


一方その頃コメント欄は……


:うおおおおおお!?

:かっけぇ!!

:強過ぎんだろ

:あの精鋭蜥蜴人が何も出来ずに死んだ……

:これ普通にAランクぐらいの実力あるでしょ⁉︎

:まじそれな最低でもBはある

:これは主の方も期待出来るぞ!

:これで主弱かったら逆に尊敬するわw

:何でだよw


この通り大繁盛だ。



「よしじゃあ反省会だ、2人共今の戦闘で何を改善すべきか分かってるか?」

「う〜ん」

「う〜ん」

「視聴者の皆は分かるか?」


コメント欄にいる視聴者に聞いてみる。

この世界の探索者のレベルを確認してみたいからね。


:わからん

:改善点なんかあったか?

:完璧に見えたけど

:うーん

:[S]少しだけスズちゃんの『空間圧縮』のコントロールが甘かったかも。

:Sランク探索者がいる⁉︎

:え、本物⁉︎

:[S]本物だぞ、あとシズちゃんの拘束が真ん中のやつ少しだけ緩かった、あと少しで拘束が解けるとこだったよ。


「そこのSランクの人正解! でもあと一つあります!」


:え?

:[S]え?

:Sランクさんも困惑してますw

:これ以上に何があるってんだ

:[S]あなたはどこまで見えているの……

:Sランクですら分からない事を主は見えてるのか……


まぁこれは俺にしか分からないだろうな、だって細かすぎるんだもん。


「まずはスズ!」

「は、はいなの!」

「『空間圧縮』のコントロールをもう少し正確にそれと『迅雷加速』の魔力をもう少し多くこめて発動させた方がいいな、精鋭蜥蜴人だったからバラバラに出来たけど多分これから下に行けば行くほどその攻撃は通らなくなるからな、でも動き出す際の魔力コントロールは良かったぞ!」

「わ、分かったの!」


スズはこれでOK次にシズだな。


「そしてシズ!」

「は、はい!」

「シズは複数の拘束を少し練習だな他は言う事無いかな! スズに出した作戦も完璧だったしな!」

「え、えへへ」


シズが少しふにゃけた顔をしている。


:シズちゃんかわええ……

:[S]何この子⁉︎ 天使? 天使なの⁉︎

:もうシズちゃんが1番でいいや

:Sランクさんが御乱心w

:おいこれはあかんやろ

:それな可愛いすぎて何もいらなくなっちまう。

:罪な子だぜ……


「あるじーこのコメント欄の人達大丈夫なの?」


コメント欄を覗いたシズが心配そうな顔で俺に尋ねてくる。


「大丈夫じゃないか? シズは可愛いしスズも可愛い、よって大丈夫!」

「あるじってたまに変だよね」


呆れた顔でシズに言われる。


「ぐはっ⁉︎ 心に直接ダメージだと⁉︎」

「あるじ変だねスズ」

「ねー」

「あっ可愛い」


:主が傷ついてるw

:やめてあげてw

:あれ? なんか俺嬉しくなってんだけど?

:あっ(察し)

:主強く生きろ



まだまだ続くダンジョン配信……本当にこんなんで平気なの?

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