第14話 配信開始数分でごめんなさい

「あのぉ〜スズさん? シズさん? そろそろ許してくれませんかね?」

「「やだ! 」なの」

「えぇ……」


 爆速で準備した俺は反省しながらダンジョンへスズとシズと向かっている。


 出る前にアイテムボックスからお詫びの紅猪レッドボアのステーキサンドを渡したのに2人の機嫌が治らずどうしようか考えている俺。


「スズさんシズさんどうしたら許してくれますか? 何でもしますから許してくれよぉ〜」


 2人に手を合わせて懇願する俺。

 そして周りの視線が痛い……


「カルパッチョ食べたい、皇帝美魚エンペラーフィッシュのカルパッチョと一緒に寝るの許してくれたら許す」


 そうシズが言った。


「ほ、本当か? それで許してくれるのか?」

「うん許す。でも次同じ事したら1週間ほとんど口聞かない。」


 釘を刺されながらもシズは許してくれた。


「は、はい! 以後気をつけます!」


 とりあえずシズは許してくれたみたいだな。

 これからは寝坊は駄目な事になってしまった、一週間もシズが口聞いてくれなくなったら俺は多分死ぬ! いや絶対死ぬ!


「スズは昨日テレビに出てきたスペシャルストロベリージャンボパフェとシズと同じで一緒に寝るの許してくれたら許すの! でもまた寝坊したらあるじ嫌いになるからね!」

「はい! 気をつけます!」


 スズから嫌われたら俺は一億回死ぬ! もういっそのこと寝坊しない魔法作ろうかな、うんそうしよう!


「あそうだ二人共、これ装備しておいて。」


 そう言って俺は死を身代わる指輪デスサクリファイスリングを渡した。


「あるじこれ何?」


 シズが渡した指輪を見てそう言う。


「これは死を身代わる指輪デスサクリファイスリングって言って一度だけ死をこの指輪が身代わりになってくれるっていう効果をもった魔道具だ。」

「あるじいつの間にこんなの作ったの?」


 俺が渡した指輪を見てシズが言う。


「一昨日作ったんだよ、無くても良いんだけどあった方が安心するし素材が余ってたからな。」

「そうなんだ、ありがとあるじ! 」

「あるじありがとうなの! 」


 とても満足そうな笑顔でスズとシズが言う。

 あっ今日俺死んでもいいや……



 ※



「すみません受付お願いします。」

「それでは探索者カードの提示を」

「はい」

「確認が取れました、お気をつけて」

「はい」


 モールダンジョンに着いた俺達は受付を済ませて入り口に向かう。


「スズシズ、装備に問題はないか? あるなら今の内に言ってくれると助かる。」


 自分の装備をチェックして2人に聞く。


「私はないスズは?」

「私もないよー!」

「よし! じゃあ今日の流れを言うぞ」


 装備の確認を取れたので配信を始める前に今日は何をするか2人にを伝えダンジョンに入った。


「よし、ここが1番良さそうだなスズ、シズ、一旦止まって」

「どうしたの?」

「ここで配信を始めようと思ってな」

「分かったの!」


 良さそうなスペースを見つけ、アイテムボックスからダンカメとコメントを表示できる腕輪を出してダンカメを起動し、腕輪を自分の腕にはめる。


「ふ、2人共準備はいいな?」

「へ、平気」

「う、うん大丈夫なの」

「よ、よしボタン押すぞ……配信開始!」


 ダンカメにある配信開始ボタンを押して配信を開始した。


「は、初めまして正人です!」

「シズです」

「スズなの!」

「今日からダンジョン配信者として活動させて頂こうと思います! よかったらチャンネル登録? てのと高評価を押してくれるとありがたく存じます。」


 あぁ緊張して敬語とタメ語が混ざってる……


「あるじースズちゃんと挨拶出来てた?」

「あぁちゃんと出来てたぞ! えらいな。」

「やったー! スズえらい!」


 スズは満足そうにそう言って尻尾をブンブン振っている。

 出ました! 出ましたよ伝家の宝刀可愛さ核爆弾笑顔の尻尾ブンブン! これを見て吐血しそうにならないやつは頭おかしい! そんなレベルの可愛さの尻尾ブンブン本当に俺は幸せだ!


「スズの可愛い尻尾ブンブンも見れて精神的な強化魔法バフもされた事で下層で探索しようと思いまーす!」

「はーいなの!」

「あるじ重力魔法かけないの?」


 俺が転移魔法を展開しようとした時シズがそう言った。


「もちろんかけるよ? でもかけるのは転移してからな」

「そうだったんだ良かった、てっきり忘れてるのかと思った。」

「そ、そんな事は無いだろ? と言い切れないのが悲しいとこなんだよなぁ……」


 俺は前に何回か忘れてシズに怒られた事を思い出しながら転移魔法で下層へ続く階段の前に転移した。


「はい到着、ん?」


 コメントとか同接を表示できる腕輪が青く光っているので腕輪をトントンと指で突いてコメントを表示させる。


 :初見です今の何ですか⁉︎

 :初見です今転移したの?

 :いやいやこれフェイクだろフェイク、普通に考えて転移なんてスキル無かっただろ?

 :確かに

 :それはそれとして隣の2人可愛い…


 お、4人見てくれてる! それと俺が使った転移魔法がフェイクって言われてたり転移したの? と聞かれてるみたいだ。


「初見の皆さんこんにちは正人です、今使ったのはスキルでもないしフェイクでもない正真正銘リアルの転移魔法ですよ。」


 俺が視聴者にそう返答した。


 :嘘乙

 :転移魔法なんてもん今まで誰も使えなかったぞ

 :どうせCGかなんか使ってんでしょ?

 :てかこの人T◯itterでトレンドに入ってた人じゃね?

 :チャンネル名のせいで全く分からなかったけど

 :え、本物⁉︎

 :ただの空似じゃね?


「いや本当に本物だぞCGじゃないよ、なんなら腕でも切り落として見せようか? それに転移魔法は適正さえあれば誰でも使えるぞ」


 返答したら嘘だのCGだの言われた……いやまじで転移魔法なんてスズもシズも使えるぞ? 距離は俺ほどじゃないけど、俺が今腕切り落としたら流石にリアルって分かるかな? 


 てか何だ? T◯itterでトレンドに入ってた人って俺こっちに帰ってからT◯itterなんて一度も開いてないから全然分かんないんだけど⁉︎


「あるじ腕切ったらダメ!」

「自分を大切にするの!」


 また2人に怒られてしまった。


「あるじはまたそうやって自分を蔑ろにする、反省して!」

「ごめんなさい……」


 :そうだぞ

 :少女に怒られる大人の図w

 :少女に怒られてる羨ましいそこ変われ

 :変態さんは消えてもろて

 :自分の体は大事にしろ

 :これは少女が正しすぎるw


「視聴者の皆にも謝って!」

「え、何で?」

「いいから謝る!」

「う、ごめんなさい」


 シズに言われるがまま視聴者に謝罪する。


 :分かったならよし

 :普通にダンジョンで自傷するのは他の探索者を馬鹿にしてるって思われるから気をつけろ

 :それはそれとして実際の所嘘なん本当なん?

 :お主T◯itterでトレンド入りしてた事知らんのか?


 どうやらダンジョンで自傷行為をすると他の探索者を馬鹿にしてると思われるらしい。

 まぁよくよく考えたらそうか。


「これが嘘本当かは各自勝手に解釈してくれて構わないぞ、そうだチャンネル登録と高評価ってやつお願いします、とりあえず2人共重力魔法かけるからな『重力負荷グラビティ・オーバーロード』」

「う、重……」

「この間より重いの……」

「ここ最近やってなかったから少し重くしたぞ、安心して限界になったら休憩は取るから」


 :鬼畜

 :重力魔法って使える人少なかったような

 :それをいとも簡単に……

 :嘘本当か分からんけど面白そうだから見よ

 :俺もそうする

 :てかここ下層じゃねえか!


 配信開始から数分この始末……まぁ後から挽回すれば良いよね☆


 あとがき


 oh……寝落ちして起きたら夜の9時。

 急いで書いて11時、ギリギリすぎる。

 明日は早めに更新できるよう善処します。


 ☆レビューと作品のフォロー等していただけたら感謝です!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る