第11話 敗北の味はいつだって辛い

「ノワール転送ゲートはいくつまで展開できる。」

「ざっと2000程、ちなみにこの拘束魔法の様子だと少なく見積もって後20分というところかな。ちなみに私の魔力もそのぐらいで尽きそうだ。」

「じゃぁ避難施設に優先的にゲートを開いてくれ。次に人が多いところを頼む。」

「既にやっているよ。いま1万人程がセントラルアビス経由で市の外に避難している。ちなみにだが子供優先だ。」

「この結界の中心位置は。」

「宮崎駅だ。そこにも避難ゲートを開けているよ。」


少し考え、テレビ局を訪ねる。幸いにも電波塔は壊されていない。テレビ局の人たちもまだ全員無事だった。今、緊急放送中らしい。そこに無理やり割り込む。


「脱出の手はずを整えている。今すぐ学校、避難施設に向かってくれ。もしくは宮崎駅から15キロメートル以上先まで逃げてくれ。15分後までに来れなければ、宮崎駅でのみ脱出の手助けをすると約束する。子供優先で脱出させる。」


これで市民全員が避難できるとは思わない。30万人以上もいるのだ。でも少しでも命が救えれば。


「ノワール、今どんな感じだ。」

「既に5万人程がアビスに避難している。」


もう5万というべきか、まだ5万というべきか。巨大な何かを察知する。ボスの登場か、いやまだ大きな侵略者も来る。ソラ達が心配だ。拘束できないかもしれない。先にアビスへの避難を優先させるべきか。


「外向けのにゲートを閉じて避難所に同時に複数展開してくれ。」

「既に行動してる。」

「私は巨大な侵略者を足止めする。後は頼む。」


巨大な侵略者に立ち向かう。駅に現れた方はソラ以外の魔法少女が、シーガイア方面はシキが戦ってくれている。私はイオンモールに現れた方へと向かう。拘束魔法を展開する。とりあえず足止めさえ出きればいい。避難が完了したのを感じると私はすぐさま駅の方へと向かった。この数の侵略者の拘束に加えて結界の維持も相当に辛いはずだ。駅に着き結界装置を創り出す。これに魔力を充填し続ければ設定した範囲に初期タイプの結界を張れるという仕組みだ。私が装置を稼働させるとソラは倒れた。避難ゲートが閉じていくのを感じる。時間切れだ、私の育った街は放棄された。

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