第9話 大規模侵攻

初めての仲間との戦闘からひと月、たまにイレギュラーな時間に来ることもあるが拠点に自分が寝泊まりしているので対応できている。

複製体はかなり便利だ。シキとニトリも二週間ほどで一人で戦えるようになった。

結界も今まではその場に展開するものだったが、別の世界を作り出し、そこに引きずりこむ物に改良した。これでもともとあった魔力の違和感を消せる。

しかも侵略者のみを転送する特別仕様だ。変身と同時に展開することができる。

無論、展開させなくてもよいのだが魔法少女ソラが恐ろしい。

また取り逃し防止のために展開範囲を半径一キロメートルという広すぎる範囲にしている。勝太達を仲間に引き入れるときは一体見逃すところだった。おかげでもう見逃しはない。

そんな日常のなか、事件は起きた。同時多発的に侵略者が開くゲートが現れる。もはや気配察知は意味をなさない、そこかしこに侵略者がいる。恐れていたことが起きたとでもいうべきか。無敵の石ころでは津波を防げない、読んだマンガにあった一言だ。たとえ私が強くとも大量に表れてはどうすることもできない。地道に駆除するしかない。私はすぐさま変身した。結界を展開する、半径5キロメートル。自分の索敵限界距離だ。だがチラチラいる気配がする。さらにはまだまだゲートが開いている。仕方がないので人が多い中心街へ向かい、結界を展開しようとする。しかし、魔法少女ソラとゆかいな仲間たちが現れる。口上もなくいきなり殴りかかってくる。まるで私たちが元凶とでもいうように。


「邪魔をするな、むしろ手伝え、手が足りない」

「あなたたちが元凶でしょ。だからあなたを先に倒す!」


仕方がないので拘束するが意味をなさない、化け物だ。攻撃を避けながら最近姿を見せなかったノワールを呼ぶ。中心街にゲートをつなげてもらうためだ。


「すまないが今は生物兵器を展開しているから厳しい。」


よく見ると普段見ない生物を見る。それが侵略者を撃退しているが強さは五分五分といったところだ。正直、街を守れるとは思えない。


「召喚・神威・変身・召喚・ドッペルゲンガ-」


複製体を大量に召喚する。すべてが配置についたとき結界を自動展開させる。これで多少は何とかなってほしい。しかしこの代償として神威に魔力がほとんど残ってない。次を召喚しようとしたとき、油断していた。的確に自分だけを狙ってソラが来ていた。攻撃がクリーンヒットする。なんとか防御は間に合ったがかなり痛い、めまいがする。まともに食らったらおそらく生きてはいないだろう。まだまだゲートが開く気配を感じる。こんなことしてる場合じゃないんだけどなぁ。また殴りに来た。まっすぐに顔を狙ってきている。魔力を全力で集中させる。が攻撃されたのは腹だった。フェイントかよ。拳がお腹を貫通している。変身が解ける。あぁ、まずい。解けた後も拳はお腹を貫通したままだった。だがなぜだが魔力が沸き上がるのを感じる。かろうじて声を出す。


「変身」


変身したら魔力は満タンでお腹は貫通してない状態で変身できた。ソラ達の様子を見る。唖然としていた。どうしてという顔だ。


「本好君だよね、真面目で優しい君がどうして……」


どうやら自分を知っている者らしい。誰だろうか。あぁ、殴られたお腹が痛む。

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