第27話:最終話:アカネとユキの共同制作



「雪人、アカネちゃん、お誕生日、それに結婚、おめでとぉ~!」

「二人とも、誕生日アンド結婚、おめでとう!」


「ありがとう、母さん、美里ママ」

「お母さん、雪枝ママ、ありがとう」


 リビングの食卓。


 バースデイケーキに十八本のろうそく。


 同じ誕生日のふたり、仲良く十八歳。


 そして、この日、母達とともに、役所へ婚姻届けを出して。


 晴れて(仮)マークも取れて、本当の夫婦めおととなり。


 めでたし。



「雪人くん、次は何か作る構想でも練ってる?」


 パーティを終えて、ひと息。


 自室で雪人がめずらしく、手を動かさずに、のんびり。


「うーん、まぁ、自分用の予備を作りたいのもあるけど……」


「けど?」


 歯切れの悪い、雪人。


「いや、実は……」


 雪人によると。


「へぇ、上げ底アレの量産まで考えてるんだ……」


 嫁も驚く、夫の計画は、と、言うと。


 母達に協力を要請し、金型を作って量産できるようにして、母達の会社の商品として販売を、と。


「うん。最初は女性用のジョークグッズ的な立ち位置で、ゆくゆくは……」


 雪人の、夢、構想。


「女装専門ショップ!?」


「うん。ボク自身の経験を活かして、ね」


「ほぇええ」


 本来の雪人の将来の計画は。


 母達の会社の情報システム部門に入り、通販サイトを強化、全国展開を目指すと言うもの。


 そこに加えて、と、言うことらしい。


「ボクもランジェリーは基本、通販で買ってたけど、たまに同じサイズ表記でも、実際に着けてみたらフィット感が全然違うとか、質感が思ったのと違うとか、結構よくあるし」


 実際に現物を手に取って確かめたいが。


「なかなか、男子がランジェリーショップに行くのは、ね?」


「まぁ、そうよねぇ……ましてや試着とかなると、確かに大変だぁ」


「うん」


 なので。


 女装男子が、気軽に立ち寄れる、そんなショップを、と。


「女装してランジェリーショップで眺めたりはしてたけど、普通に男子向きのサイズってなかなか置いてないのもあるしね」


 どうしても体格の問題で、女子よりふた回りほど大きめのサイズが必要になる。


 ちなみに、ここで言うサイズは、アンダーバストの、サイズ。


 男子の場合、トップサイズは根本的にアンダーとほぼ、同じ。


「だからそういう男性向けの大きめサイズの下着とか、ウィッグとか、あと、コスメなんかもひと通り揃えて……」


 膨らむ、膨らむ。


 雪人の、夢。計画。


「そっかぁ、じゃあ、雪人くんの次の制作は、その金型とか、それに、ショップ、かぁ……」


「うん。まぁ、ちょっとづつ、ね」


 高校を卒業してから専門学校で知識を増やしたり、との準備もまだまだ必要。


 合間を縫って、金型の元になる原型の制作や、ショップ立ち上げの準備計画など、など。


 やる事は、たくさん。


「雪人くん、雪人くん。まだもうひとつ、制作しないといけないものが、あるわよ?」


「ん? 何?」


「わたしも一緒に、協力して制作しないと、なんだけど」


「アカネと一緒に? 何を作るの?」


「赤ちゃんだよっ、赤ちゃんっ。お母さん達の孫、作らないとっ!」


「あ……」


 言ったアカネも。


 聞いた雪人も。


 顔を真っ赤にしつつ。


 それぞれ赤く染まる理由は異なれど。


「えへへ……こっちの制作も、がんばって、ね? パ、パ?」


「うっ……精進します……ママ?」



 まだまだ。


 ふたりの制作は。


 いろいろと。


 あれこれと。



 つづく……。




 みたいです?




<百合の母達が子等に乞い願う・ピュア・番外編>


<ユキちゃんの女装DE・DIY おわり>





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