第8話
駅長さんの話を聞いた私は家へと帰ったのですが、制服が土で汚れているだけではなく顔や足に傷がある状態だったし、何より三日もどこをほっつき歩いていたのかと、両親に叱られてしまいました。
私が『きさらぎ村』にいたのは一晩だけです。それなのに、現実は三日も経っていたのです。
心配していたのだと両親に泣きつかれた私は自分が駅長さん達に語った事をそのまま話したのですが、やはりというか当然と言うべきか信用してくれませんでした。
その日は大事を取って休み次の日は学校に行ったのですが、三人の存在と記憶が教師や彼女達と親しかった人達から消えていました。
私は藤堂さん達と特に親しい付き合いがあった訳ではないので確認が出来ていないのですが、駅長さんが言っていた通り、おそらく親御さんも自分の娘に関する記憶がないとみていいでしょう。
竹本さんに至っては県大会で優勝した事があるのに、彼女の名前だけではなく大会で出した記録までもが消えていました。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
今でも通学に地下鉄を利用していますが、あの時のように自分の周りから急に人がいなくなったり、『きさらぎ村』に迷い込んでしまったという事は起こっていません。
ですが、時々ふと思うのです。
鬼に護られている『きさらぎ村』は今も生け贄を求めているのでしょうか───。
きさらぎ駅 白雪の雫 @fkdrm909
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