第4話






 おじさんは村でも有数の金持ちなのでしょうか。


 高級旅館並みに広くて綺麗な部屋を四人に貸してくれました。


「儂は母さんにお嬢さん達の晩飯と風呂の用意を頼んでくるから、用意が出来るまでゆっくり休んでいなさい」


 そう言い残して、おじさんは部屋を出て行きました。


「源泉かけ流しの温泉を個人で所有しているなんて贅沢の極みよね」


「TVも電話もないなんて耐えられないけど、今晩だけだと思えば我慢出来るかも」


 竹本さん達が盛り上がっている中、私は一人で考えていました。


 おじさんは『きさらぎ村』だと言っていましたが、それは何県にあるのでしょうか?


 何故、電車から私達四人以外の乗客が消えてしまったのでしょうか?


(やっぱり・・・神隠しという現象なのかな?それとも・・・ラノベで流行っている異世界トリップというものなのかな?)


 電車に乗ってからおじさんに出会うまでの事を顧みている私に、ご飯の用意が出来たと藤堂さんが声を掛けてくれたのですが、何か嫌な予感がするのをどうしても拭い切れていないのか、具合が悪いのでもう休みたいと答えました。


 一瞬、おじさんは私を見て顔を顰めたのですが、堀川さん達は気付いていないのか、それとも空腹だったのか分かりませんが───おそらく後者でしょう。


『お大事に』とだけ言い残して一階へと降りて行きました。









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