最終話:三人のエレメンタル。

乃絵瑠と暮らし始めて僕は会社から帰ってくるのが楽しみでしかたなかった。

帰ると大好きな彼女の笑顔と暖かな晩ご飯が待ってるんだから。


ふたりだけのラブラブな生活。

このぶんならエッチだって時間の問題。

幸せで平和な日々・・・僕の未来は明るいって思ってた。


ところが乃絵瑠がレンタル彼女代行株式会社・ラップランドフォレスト

を辞めたって聞いて乃絵瑠の友達が僕のマンションに、どかどかやってきたんだ。


それも三人も・・・同時に・・・。


とうぜん乃絵瑠の友達だから彼女たちも乃絵瑠と同じエレメンタル・・精霊。


乃絵瑠がレンタル彼女代行株式会社に就職するとき三人ともついてきて

全員、揃ってレンタル彼女になったらしい。


だから乃絵瑠が会社を辞めて男と同棲してるって聞いてやってきたみたい。


ひとり目は「亜衣瑠あいる」って言って水の精霊ウンディーネ。


ふたり目は「羅加瑠らかる」って言って炎の精霊サラマンダー。


三にん目が「芽里瑠めりる」って言って地の精霊ノーミード。


もちろん全員女の精霊。


「やっほ・・・乃絵瑠、元気?」


そう言ったのはウンディーネの亜衣瑠あいる


「みんな〜よく来てくれたね、ありがとう〜、私とヨッシーのこと、お祝いに

来てくれたんだよね〜♪・・・ゆっくりしてってね」


「あんた、とっとと会社辞めて男といい仲になってるって聞いて、その彼氏と

あんたの様子見に来てやったのよ」


「こっち私の彼氏・・・吉野 与四郎よしの よしろうくん・・・ヨッシーよ」


「ふ〜ん、これのどこがよかったのよ、人間の男となんか何真剣に恋愛ごっこ

してるんだか・・・」


羅加瑠らかるがそう言った。


で僕は彼女たち三人に、上から下まで360度品定めされた。


「れ、恋愛ごっこで悪かったですね・・・なんだですか、いきなり僕のマンションに

押し寄せてきて・・・もらって」

「頼みますから、ぼ、僕と乃絵瑠の平和を乱さないでくれませんか?」


「おい人間、火吹いて焼き殺してやろうか?」


「いやいや、そう言うのは遠慮しときますって」


「お尻に日がついたら、私が決してあげるわよ」


そう言ったのは水の精霊「亜衣瑠あいる


「羅加瑠、ヨッシーをいじめないで!!しつこいと地球の果てまで吹き飛ばすよ」


乃絵瑠が羅加瑠らかるに注意勧告した。


「あのね、本当はこの際だから私らも、ここにお世話になろうかなって思って

やって来たの」


そう言ったのは一番大人しそうなノーミードの芽里瑠めりる


「え〜、あんたたち、私たちのお祝い言いに来たんじゃないの?」


「実は私たちもレンタル彼女代行サービス株式会社・ラップランドフォレスト

辞めて来ちゃったの」


「え?辞めたの?三人とも?」


「スケベな人間ばっかで、男なんて相手してられないもん・・・ちょっと甘い顔

見せるとストーカーみたいに付きまとわれてさ、ウザッたいったら・・・」

「だから、他に行くとこないし、だからここでみんなで楽しくやろうよ」


「そう言うことだから、よろしく乃絵瑠・・・ヨッシー」


羅加瑠らかるが僕たちの意見を無視して、まとめてしまった。


しかたない・・・でもこれで乃絵瑠とのふたりきりの生活が脅かされるな。

ラブラブしてたら、いちいち三人の邪魔が入りそう。


それにしても精霊ってみんなハーフみたいでそれぞれ個性があって可愛い。

おもわず浮気しちゃいそうなくらい魅力的でそそられる。

もちろん浮気なんかしないけどね。


でも乃絵瑠も含めて四人に代わる代わる部屋の中でうろうろされたら、

たまんないよ、わざとらしくフェロモンはぶちまけて行くからいい匂い

が入り混じって臭くて鼻が曲がりそうだ。


あ〜あ、これからどうなっちゃうんだろう?

いつ乃絵瑠とエッチできるんだ?・・・そんなウハウハな出来事は日々

遠ざかって行く気がする。


絶対、こそこそやってったら三人が嗅ぎつけて介入してきそうだし・・・。

男ひとりに精霊四人・・・こんなのが毎日続くんだろ?・・・困ったよな。

それでも僕は三人を無視しながら乃絵瑠だけを相手しながらなんとか生活

していた。


ところがだ・・・またまた思いもよらない展開が・・・。

なんと乃絵瑠以外の三人・・・まさかの僕のことが好きになっちゃったみたい

で乃絵瑠そっちのけで、あの手この手で僕を誘惑しはじめた。


まてまて・・・一度に四人の女なんか相手できるかよ。


乃絵瑠はパニックになって包丁片手に三人を追いかけ回す始末。

僕がしっかりしないからだよってキレられるわ、そりゃもう大騒ぎ。


果ては四人とも元の精霊に戻って部屋の中で暴れ回るからそこらじゅう

もうボロボロ・・・バトルが終わった時にはまるでゴミ屋敷だよ。

あとで謝られても、誰が片付けるんだって話。

僕は泣きじゃくる乃絵瑠をなだめるのが精一杯で、それどころじゃない。


勘弁してくれ、乃絵瑠とのラブラブで幸せな時間が蝕まれて行くじゃないかよ。

誰かが自分のテリトリーに入り込んでくると、ことは思惑とは違う方向に進み

始める。


こんなことになるなら、ずっとひとりでいた方がよかったかも・・・。


僕が酒によってレンタル彼女代行サービス株式会社・ラップランドフォレスト

のサイトをポチッとしなきゃ、こんなことになってなかったのに・・・。


だけど乃絵瑠、君と出会って恋人同士になれたことは後悔してないからね。

この先どうなろうと愛してるのは君だけだから・・・乃絵瑠。


まじで・・・いつになったら乃絵瑠とエッチできるんだろ?


おしまい。









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エレメンタル彼女。”レンタル彼女代行サービス株式会社・ラップランドフォレスト” 猫野 尻尾 @amanotenshi

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