第3話:本当の彼女。

なんでこうなったんだろう?

僕が酒に酔っ払ったせいだ。


もう二度と乃絵瑠のえるちゃんに会えないかもって思いながら彼女に

連絡取ったら普通に来てくれた。

そして二時間の間、擬似的彼女でいてくれた。


レンタル彼女を好きになったせいで、こんなに切ない気持ちになるなんて。

僕ってそんなに女々しい男だったっけ?


レンタル彼女だぞ・・・なんで好きになった?

でも好きになったものがしょうがない。

だけど、こんな気持ちを抱えたままでいたら、おかしくなりそうだ。

いっそレンタル辞めるか・・・。

やめてそれで乃絵瑠ちゃんに会えなくて辛抱できるのか?


もし乃絵瑠ちゃんに連絡取ってスケジュールが合わなかったら、もう

会うのはやめよう・・・みじめになるだけだから、そう思った。


でもやっぱり彼女に合わずにいられない。

結局僕は乃絵瑠ちゃんから離れられないんだ。

そうやって心にわだかまりを持ったまま悶々とした日々が続いていった。


そんなある日のこと。

呼んでいないのに乃絵瑠ちゃんが僕のマンションを訪ねてきた。


「え?どうしたの?・・・頼んでないけど・・・」


「うん・・・来ちゃった」

「あ、料金発生しないからね」


「って言うか・・・もう偽物の彼女は辞めることにしようと思って・・・」

「まだ決めたわけじゃないけど・・・ヨッシーの返事次第」


「僕の返事次第?」


「ヨッシー・・・私のこと好き?」


「もちろん・・・好きだよ・・・好きって気持ち以上に好きだよ・・・」

「僕と一緒にいて僕の気持ち感じてくれてるだろ?」

「愛してるっていきなり言っちゃうと照れるけど、いつでもそう思ってる」


「そう、じゃ〜二時間とかじゃなくてずっと私にいてほしい?」

「一時的な彼女じゃなくてほんとの彼女になってほしい?」


「そりゃもう・・・めちゃ彼女になって欲しいって思ってる」


「そ、分かった」


「だけど辞めるって・・・それじゃもう僕のところにも来なくなるの?」


「あのね、私もヨッシーのことが好き・・・一時的な彼女じゃなくて」


「それに今はヨッシー以外の人のレンタル彼女になりたくないの・・・」

「好きな人がいるのに他の男性に笑顔振りまいたり優しくしたりできないもん」

「私そこまで冷静になれないし好きでもない人に媚び売りたくない」


「だから決心した・・・私、レンタル彼女辞める」

「二時間とかじゃなくて、ヨッシーとずっと一緒にいたいから・・・」

「だからレンタル彼女、辞めてもヨッシーに逢いに来るよ」


「乃絵瑠・・・」


僕はレンタル彼女になったばかりの子の職を奪ってしまった。


結局、乃絵瑠は「レンタル彼女代行サービス株式会社・ラップランドフォレスト

を辞めた」


で僕のマンションで同棲って形でレンタルじゃなく24時間、僕の本当の彼女に

なった。

だから彼女はにもしなかったレンタル彼女の時と違って普通に料理を作って

掃除に洗濯をしてくれるようになった。

それが自分にとって幸せの証であるかのように・・・。


僕に精霊の彼女ができた。

精霊が恋人だよ・・・。


この世に精霊なんていたんだね・・・僕はまるで夢を見てるみたいだ。


このまま乃絵瑠ちゃんと愛を育んで、将来もし結婚でもしたら、さて・・・

彼女が里がえりするってなったら大変だ。

フィンランドだろ?

僕はフィンランドなんて詳しく知らないよ。

フィンランドには本物のサンタクロースがいるらしいし。


彼女が言うにはサンタクロースはフィンランドのラップランドってところに

ある謎に満ちたコルヴァトゥントゥリ「耳の山」ってところに住んでいて

しかもサンタクロースの正式な故郷のロヴァニエミってところまで行けば

一年中いつでも本物のサンタクロースに会えるんだって。


でも行ってみたいよね、乃絵流の故郷・・・そんな不思議でメルヘンな世界。


とぅ〜び〜こんて乳。








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