(二)-20

 悦子は壁際の木箱に入った手提げのバッグの取っ手をとって、いくつかまとめて持ち上げた。そしてそのうちの一個を芙美恵に投げた。

「どうする、姐さん?」

「詰められるだけ詰めろ」

 そう言いながら、悦子は壁際のデスクの上にある、装置を二つ鞄に突っ込んだ。さらにその手前に置かれている木箱から手榴弾を取り出し掴んでは鞄に入れていった。

 芙美恵は「わかった」と短く答えると、壁際の木箱から拳銃や弾丸をどんどん鞄に詰めていった。

 それぞれ一つ目の鞄が一杯になり新しい鞄を取り出して、中身を詰めようとしていたとき「おはよう」というキーの高い声が聞こえた。


(続く)

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