わたしメリーさん、強敵と戦うの(1)
「ここが薬草を取る場所かな?」
見た感じ薄暗くてとても駆け出しが来る場所ではなさそうに見える。けど、薬草を取る位置は森に入る手前の場所でとれるのでそれはありがたい。
でも、ここにも薬草が生えてるけどもうちょっと奥に行ったらたくさん生えてそうなんだよね。
「手前にある薬草をあらかた取ったら試しに奥に行ってみよう」
そうと決まれば速攻で薬草を取るぞ!
~数分後~
「ふう、あらかた取り終わったかな」
薬草の数は30くらいあるはずだ。依頼では20となっているのでもう達成しているが…。
「奥に行きたい」
絶対奥に行ったらなにか強い奴と会うのがテンプレなのだ。しかもより品質が高い薬草が取れるおまけつき。
実際のところは何も知らないけど。テンプレ通りなら絶対にそうなるはずだ。
だけどお昼の約束もあるかなあ。一回時間を確認するか。
「タイムマジック」
タイムマジックとは時間を確認できる簡単な魔法だ。この世界では日本と同じ時間周期なのでわかりやすい。
「って!もうすぐ12時になっちゃう!今すぐ帰らなきゃ」
よかった。調子に乗って奥に行かなくてよかった。時間を確認せずに森の奥に行ってたら確実に遅れていただろう。時間確認はやっぱり大切だね。
「依頼の達成を確認しました。依頼されていた数よりも数が多いので金額を上乗せしておきますね。そして依頼を達成したのでF級からE級に昇格です」
「ありがとうございます」
依頼では銀貨2枚だったが30個とってきたので銀貨3枚もらえた。薬草の依頼をやるだけでも稼げるもんなんだね。10分くらいで終わったしこれなら時間つぶしにちょうどよさそう。
「っと、急がないと遅れちゃう」
すぐ近くに歩けどい早歩きでいこう。これで遅れちゃったら怒られちゃうからね。
「あ、バロゴさーん!」
「お、来たか嬢ちゃん。紹介するぜ、こいつらが俺のパーティーメンバーだ」
「はじめまして、私はリア。ヒーラーをやってるわ」
「僕はキリア。魔法使いだ」
「俺はギミアだ。剣士をやっている」
おお、王道系パーティーだ。剣士に魔法使い、ヒーラーに…なんだ?
改めてだがバロゴさんの役割を知らないんだけど。パッと見、斧を使う戦士っぽいけど。
「それじゃあお昼ご飯食べましょうか」
「そうだな。お前らも食うぞ!」
「「「はい」」」
うーん。とても仲がよろしくていいな。やっぱり仲がいいパーティーっていいよね。
追放系のパーティーだと仲がよろしくないからね、私はあんまい好きじゃない。
「メリーは何を食べるんだ?」
「私はお肉かなぁ。この後もクエスト受けるからね」
「結構がっつり行くんですね。私はあんまり食べられないので羨ましいです」
「そうだねぇ。俺もあんまりべられないからメリーさんが羨ましいよ」
なんかこのパーティー小食多くない?しかも戦士のギミアさんが小食ってちゃんと動けるのかな?
流石に何年もやってるから大丈夫だと思うけど心配だな。
私みたいにがっつり食べなきゃやってられないよ。
「皆さんって何年くらい冒険者をやってるんですか?」
「そうだなぁ…。5年くらいか?俺たちは成人の議をしてからずっとパーティーを組み続けてるんだ。俺たちは小さい村で生まれてな。全員幼馴染なんだ。だから俺たちはほかの人と組むよりもこいつらと組んだ方が連携が取れていいんだよな」
「バロゴは不器用だから勘違いされやすいんだけど見た目に反して優しいんだよね。だからメリーさんみたいに接してくれる人が少なかったんだよね。だからバロゴも喜んでるよ」
「おいおい、照れくさいじゃないか。でも喜んでるのは本当だな」
本当に仲良しのパーティーなんだな。幼馴染だからこそ連携が取れて言葉を交わさなくても分かるんだな。
いいなぁ。私はパーティーを組みたいとは思うけど多分私の強さについてこれないんだよね。
だからソロの方が何かと都合がいい。
「メリーさんはパーティーを組まないの?メリーさんほどの力があれば引く手が多そうだけど」
「残念ながら私の力についてこれる人がいないと思うんだよね。自分で言うのもなんだけど私って相当強いからね」
「確かにね。メリーさんはランクに見合わない実力をしてるから仮にパーティーに入ったとしてもメリーさんの火力頼りになってしまうから実力が見合わないのにランクだけが上がっちゃうのは問題だね」
「そうか、そういうこともありうるのか。さすがギミアだな!俺には到底思いつきもしなかったぜ」
「バロゴは力じゃなくて頭を鍛えなさいよ」
「なんだかいつにもましてリアが毒舌なんだが…」
本当にほほえましいパーティーだ。こんな事を言えるのは気を許していることを表している。
私にもそんな人たちが欲しいけどそれは難しいだろうなぁ。私はあんまり人の感情に敏感ではない。むしろ鈍感だ。だから、相手を傷つけることしか言わない気がする。そんな奴とパーティーなんて組みたくはないだろうな。
「お待たせいたしました。ご注文のメガボアのステーキです」
「あれ?いつの間に注文を?」
「僕がやっといたよ。いつまでも話しているからね。ステーキは僕のおすすめだけど良かった?」
「おいしそう…。キリアさんありがとうございます」
「いや、それくらいは礼に及ばないさ。バロゴが迷惑をかけたからな。高いステーキも注文できる」
「おいキリア。確かに俺が奢るといったがお前のは奢んないぞ?」
「そんなのは分かっているよ。僕はメリーさんが言った通りお肉を頼んだ。メリーさんも満足しているようだしこれはメリーさんが頼んだものでいいよね?」
「はぁ…。ほんとキリアはめんどくさいな」
「めんどくさいとは失礼ですね」
バロゴさんとキリアさんがにらみ合いを始めた…。うん!関わらないでおこう。なんだかめんどくさそうだし。
ていうか、なんだかギルドの方が騒がしいな。
「ねえ、傷だらけの人が急いでギルドに駆け込んでたんだけど。なにかあったのかな?」
「メリーさん、それまじか?」
「うん。しかも一人だったから確実に何かあったね」
「おいお前ら。昼飯は中止だ、ギルドに急ぐぞ」
「了解リーダー」
「すまんなメリーさん、俺たちはここで抜けさせてもらうぜ。おそらくだが招集がかかるはずだからな。メリーさんもそれを食い終わったらギルドに顔だしな」
「わかった」
さて、ステーキを食べましょうかね。
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