わたしメリーさん、冒険者になるの

うん、良い朝だ。

昨日はお肉を食べたから気分がいいね。そして昨日のお肉よりおいしく食べるために冒険者になって調味料を手に入れなければ。特に塩は手に入れたい、これはほんとに欲しい。


「その前に朝食を食べないとね」


私は急いで1階に降りて朝ご飯を食べた。ちなみに朝ご飯ウルフステーキだった。あれ?これって何かあるまでこのままとかありえるよね。何か違う食材を提供しなければ…。


「さてと冒険者ギルドに向かいますか」


この世界の冒険者ギルドはどの国からも独立していて、国からの命令を拒否できる権利がある。もし国側が命令を強制したのなら冒険者の人々が暴動をおこし国を危険に晒しかねない状況になるので国側からは無理は言えない。


冒険者ギルドから出される冒険者カードは全ての国で使えるパスポートらしい。そこにはモンスターの討伐数、ネームドの討伐、犯罪歴などが記録される。

そのため冒険者カードは一種の信頼の証になる。


そして冒険者にはランクが存在する。上から順に【S→A→B→C→D→E→F】の順になっている。

Fは冒険者登録をしたときに与えられるランクだ。課されるクエストをクリアすればEに昇格する。


Eはスライムや薬草採取が主だ。一番馬鹿にされがちだが薬草がないとポーションが作れなかったり、スライムを倒さないと異常発生したりなど縁の下の力持ち的なポジションだ。

Dはゴブリン討伐や鉱石採取をしている。ゴブリンはDランクでも狩れるが侮っていると痛い目を見る相手だ。鉱石採取は武器を作るための鉱石を持ち帰ってくる単純だが難しいクエストだ。


Cは主に遠くの村の魔物討伐や商人の護衛任務がある。ここまではいける人が多いがここから先は少ないらしい。

BランクはCランクとやることは一緒だが、たまに盗賊などの人間を相手にすることがあるため人を殺せないい人はCランクにとどまっているらしい。


Aランクからは他の者からの推薦が必要となり信頼される人物にしかなれない。なので他の冒険者からは憧れの目で見られることが多い。やることは討伐任務、遠征任務、重鎮の護衛など重要なことを任されることが多い。

Sランク。ここまで行けるのはまずいないと言われている。世界に10人いるがその誰もが規格外な剣術や魔法を扱える。一人いれば他国にけん制できるほどその影響力は大きい。Sランクは準伯爵並みの権力が与えられある程度自由に行動でき、国からの補助金がある。


このようにランクが上のほど重要度は増すがその分報酬がおいしい。なのでできる限り上を目指したい。


「っと、とりあえず着いたね」


漫画だとごろつきに絡まれたりするがどうなんだろう。なんで知ってるからって?そりゃもちろんこのジャンルは好きだったからね。

霊は読めないだろって?…気にするな!


「さて入りますかね」


扉を開けた瞬間、お酒の匂いが鼻を刺激する。今は昼なのだが酒場は営業しているらしい。いや営業すんなよ。

そんな愚痴を漏らしながら受付に向かう。


「ようこそ冒険者ギルドへ、初めての方ですよね?」


「あ、はい」


「では冒険者登録でしょうか」


「はいそうです」


「わかりました、少々お待ちください」


そう言うと受付のお姉さんは後ろの部屋に行った。

なんで私が最初ってわかったんだろう。やっぱり服装とかかな。


「お待たせしました、こちらの紙に記入をお願いします」


「わかりました」


私は手渡された紙に必要事項を記入する。名前、年齢、職業、自由欄だがスキルの有無とその内容。

なんか目の前から視線を強く感じるんだけれど…。


「あの…」


「あ!す、すみません。随分と綺麗な文字を書かれるなと思いまして。ここまできれいに書けるのは貴族の方々か高ランク冒険者くらいですからすごいなと思いまして」


「あ、なるほどですね」


確かにこの世界では読みはできるけど書けない人が数多く存在するからね。私のような人は珍しいのだろう。


「はい、書き終わりました」


「ありがとうございます。それでま少々お待ちください」


そう言いまたお姉さんは後ろの部屋に消えていった。

さて、冒険者になったらなにをしようかな。世界を回るのもいいし高ランク冒険者を目指すのもいいね。

あわよくばそのどちらも達成したいけど難しいかな?


「お待たせいたしました。念のためご確認させていただきます。お名前がメリー、年齢が16歳ですね。職業とスキルの欄が空欄になっていますが大丈夫でしょうか?」


「はい、このままで大丈夫です」


「一応ご説明しておきますと職業が空欄ですとパーティーを組みずらくなってしみますが大丈夫でしょうか」


「大丈夫ですよ。ソロでやっていきますので」


このお姉さんは優しいな。私のことを本当に心配してくれている。当たり前と言えば当たり前だが異世界というのでこういうのは少ないと思っていたが身近にあるもんだな。


「分かりました。ではこちらをどうぞ」


おお!これが冒険者カードか。いざ実物を手にしてみると感動するな。

でもこの感動を邪魔しようとするやつらが異世界にはいるんだよなぁ。よくあるテンプレートが必ず起こるのだ…。


「おいおい嬢ちゃん。ここはお前みたいなちっこいガキが遊びに来る場所じゃないんだよ。さっさと帰って畑でも耕してな!あっはっはっは!」


なんやねんこいつら。全員ぶちのめしてやろうか。喉元ぐっさーって突き刺してやろうか。

でもまあしょうがない。私の体はパッと見弱そうだしね、なめられても仕方ない。

だがやり返さないと気が済まない。


「でもあんたみたいなゴロツキでもB級になれるのね。じゃあ私はA級にいけるんじゃない?冒険者って案外ぬるいのね」


おお、私の言葉で酒場が静まり返ってしまった。なにかやばいこと言っちゃたっかな。


「あはははは!!嬢ちゃん面白いな!一応こいつはB級上位でもあるんだぜ。そいつをゴロツキだってよ!あはははは!ほんっと笑えるわ!」


「おいてめぇら!俺のこと笑ってんじゃねえよ!」


やっぱりこの人嫌われてたのか。実力が実力なだけに下手なことを言えない人達が私に乗っかってこいつを笑っているのか。だがまあ面白いな。


「おいクソガキ!てめぇよくも俺に恥かかせたな!俺と決闘しろ!」


さすが異世界。テンプレ通りだ。しかし、ここまでテンプレだと流石につまらなくないか?神様って案外日本のラノベ好きなんだなぁ。

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