第二章 神災者のポイント稼ぎ モンスター討伐編

第24話 イベント二週間目 PVE解禁つまり俺様の新技も解禁OK?


 PVE解禁まで後十分となった。


 ゲーム世界では既に異変が起き始めていた。


 状況の説明は最早不要。

 なぜなら――巨大ロケット花火に跨った男がサングラスを掛けてソワソワし始めていたからだ。

 巨大ロケット花火――別名:俺様NEW戦闘機アルファーエックスエックスNo.1と名付けられたソレはただ大きいだけではない。

 手榴弾三百、火炎瓶三百、閃光弾百、音響爆弾百、をそれぞれ積んでいる。また後付けではあるが千を超える一般的なロケット花火が搭載されておりそれを積む為に強引に設計されたコックピットは紅一人でも窮屈なほどに色々強引に作られていた。尚ロケット花火の先端部分に取り付けれらた鋭利な刃物は触れただけで皮の服を簡単に切り裂くように鋭利に研がれている。


「エリカお姉様ぁ~私ぃまだ研ぐんですかぁ~?」


 涙目になり拷問の末、紅率いる神災戦隊に加入することになった黒ギャルのマヤは懸命に働いていた。しかしマヤに返されるのはお許しではなく僅かな笑みだけで言葉はない。苦痛ではなく快楽を一方的に数時間に及んで与え続けたエリカは「女同士だからなにも問題ないでしょ♪」と言ってその時マヤに一切の手加減をしなかった。自害することもできずただ拷問を受けたマヤは自らの意志でエリカの下で働くことを誓いその勢いで紅勢力に加わったに過ぎないのだが紅に協力した時点で来週のPVPは覚悟して望まなければいけないと腹をくくっていた。


 今週どんな結末になろうと間違いなくイベント最強の本命が紅の首を狙ってやって来ると確信しているからである。


「良し、発進まで後七分だな」


 ゲーム世界八日目の明朝5時から参加プレイヤーはモンスター討伐が可能になり討伐したモンスターの種類や攻略難易度に応じたポイントを手に入れることができる。

 モンスター討伐期間までの一週間前をかけて各々装備やスキル集めを通してパワーアップしているだろう。その進歩具合と己の腕(PS:プレイヤースキル)の自信に合わせたモンスターを探す。討伐後は倒したモンスターに見合ったポイントが貰えそれがイベントランキングに直結する。そして一週間後にはモンスターだけでなくプレイヤーからも倒すことでポイントを奪うことができるので全ては計画的に動くことが大事。と運営は各参加プレイヤーに送ったが唯一未読の男は言う。


「ふふっ、一度火が付いたらもう誰にも止められないコイツと一緒に俺様が盛大に目に物見せてやるぜ!」


 気合い十分で最初から全力でなにかをする気満々であった。


 今日は特に調子が良い紅。

 昨日は里美の膝枕で一日中寝てエリカに甘えて沢山の我が儘を聞いてもらってテンションアゲアゲの紅に最早怖いものなどなかった。

 おはようのキスをしてもらった時に理性の鎖は半分以上切れた。

 それを百も承知で里美とエリカは元気な紅を少し離れた所から見守っている。


「提示板見た?」


「うん」


「軽く皆の予想超えそうよね。初日から」


「そうね。さて今日の犠牲者はモンスターと何百人の悲鳴と歓声で済むかしらね。楽しみだわ私の新兵器がどのように活躍するか」


「そうね。なら私たちも最後の準備に入りましょう」


 サングラスに双眼鏡機能が付いた眼鏡をかけたエリカは美人OLの出来る女って感じの風格でそれを支える可愛い助手が里美のように見える光景にマヤは「これあの子ぉのじゃなくて私の分だったんだ……」とすぐ近くにあるサングラスを見てようやくその意図に気づくのであった。コレがないとどうなるかは戦闘機から見て誰でも想像は付く。ただし操縦者がまともならの話で操縦者がまともな者じゃないからマヤとしては色々と不安なのである。だけどそんなことは興味なしとエリカと里美は観戦用の気球の準備に取り掛かっていた。生産色のエリカなしではできない光景にバランスが取れた良いチームワークがあったのだと気づくがこの二人が誰に惹かれたのかを考えれば……マヤはまだまだ神災戦隊の新米。


 なぜなら――類は友を呼ぶから。



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