第13話
象が現れてから3日が経ったが象は動くことなく突っ立ったままだ。
同じくフウさんも目を覚ましていない。
象のいる2区の住民達はそれぞれ他の区へ避難しているらしい。3区でもかなりの人数を受け入れている。
(いったい何が起きてるの……)
ガラス越しにベットに横たわるフウさんを見る。美しかった翠色の髪は所々が白くなっており、肌も白くなっているところがある。何より異様なのは、体から白い煙が出ていることだ。湯気とでも言うのだろうか。
あれからフウさんの管轄である9区には臨時の守護者幹部としてスイさんが戦ってくれている。突然の事だが9区の住民が騒ぐことはなかった。おそらくスイさんとフウさんが双子であり、スイさんの実力を住民達も知っているからだろう。
そして特に気になることが1つ。
恐らくだが、あの象は象ではない。
象が現れてからの3日間、戦闘後に様子を見に行っているが、明らかに変化している。
(ルナが言っていたマンモスってあれだよね)
象には牙が生えてきていた。まだ牙は短いようだが、研究院でもマンモス説が挙げられている。
(でもなんでルナはマンモスってわかったんだろう。)
ルナに見せられた水と砂を使った占いでは確かに象のような形に砂が沈没していた。しかしルナは象とは1度も言わずにマンモスに気をつけるように言った。
さらに、ここ数日彼女の家に行っても留守なのだ。
(ルナは何か知ってるの…?)
心の中で問いかけるが当然答えは帰ってこない。
(もし何か情報を持っているのだとしたら、これにも意味があるのかも。)
持っておくように言われた石を取り出す。
ふと、石を撫でていた指先に凹凸を感じた。
よく見ると、紋章のようなものが彫ってあった。
「なんか、見たことある…?」
いつだったか、何に描かれていたのかはわからないが見覚えのある紋章だった。
(調べ物なら史書庫だよね)
「ちょっと行ってきますね。」
横たわるフウさんに声をかけ、史書庫へ向かった。
史書庫のある本部は人がとても多い。しかし、何故かぶつかることはない。
(うっ…人酔いする…)
視界が揺れているような、ぼやけているような状態だったが、何とか史書庫の前までたどり着いた。
と、見覚えのある背中があった。
話しかけようとすると、白髪の少女が先に話しかけた。
それは、探していた少女、ルナだった。
ネオストーン 紫熊雷 @rai_shiguma
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