第3話 未来はこの手で……

 次はいよいよヒロインだ。

 《ヒロインの有無及び選択》


 ・ヒロイン有り


 ・ヒロイン無し


 ※ヒロイン有りとなれば、確実に結ばれます。他に好きな人が出来ようとも、ヒロインに嫌われようとも運命の修正力により確実に結ばれ、たくさんの子宝にも恵まれます。


 なんか今までの注意書きから考えて、ちょっと怖いんだが。

 ん? 注意書きの下に何かある。


 《ヒロイン情報》


 これは気になるな。

 もちろんタップだ。


『テミス』

 白髪エルフ

 幼馴染

 148cm・39kg

 B70・W51・H77


『ソフィア』

 伯爵令嬢

 魔法学校の同級生

 161cm・47kg

 B95・W59・H91


『アイラ』

 義姉

 156.7cm・51kg

 B102・W60・H84


 そしてそれぞれに写真がついている。

 なんだこれ無料案内所みたいだな。

 もちろん俺も大学生、そういう店を選ぶ時に一度は立ち寄ったことがある。

 え、これヒロインを選ぶんだよな?

 なんか如何わしい気持ちになるんだが。


 にしてもみんな現実世界では見たことないほど可愛かったり、キレイだったりと魅力溢れている。


 ……ぐへへ、これは迷うぜ。

 って……はぁ、また注意書きだ。

 もういい加減ため息が出てくる。


 ※この中に一人殺人鬼がいます。


 なんで急にサスペンス要素入れてくんだよっ!

 俺の人生3分の1で殺人鬼と結ばれんの?

 それを運に委ねる勇気ないわっ!


 はぁ……もうツッコミ疲れた。


 ※ヒロイン無しを選んだあなた……。

 そんな注意書きもあるが、誰がそんなもん選ぶんだ。


 ・人生を切り開くのはあなた自身です。

 ヒロインと結ばれる保証はありませんが、自分の目で確かめて、あなただけのヒロインを探すのはいかがでしょう。

 もちろん頑張り次第でハーレムを目指せるかもしれません。


 ……今回の注意書き、そそるじゃねーか。

 そうだ、決められた相手なんかより自分で切り開いた未来の方がよっぽど価値があるに違いない。


 よし、俺は決めたぞ!


 《ヒロイン無し》

 ピロリロリン───


 いよいよ最後だ。

 《人生の分岐点選択》


 これはかなりの文字量書き連ねられている。

 問題数も多い。

 ここまでたくさん選択してきた。

 こうなったら絶対にいい人生にしてやる。

 残りの質問もかかって来い!


 ◇


「えーでは全ての選択が終わりましたね 」

 メリュシーナは上品にそう話を進めてきた。

 さっきまでテレビ見てゲラゲラしてたやつが、よくそんな澄んだ顔できるな。


「あなたのこれからの人生をまとめます 」


 ・あなたはメルスという名前を授かり、地方領主の息子として産まれてくる。


 ・6歳から魔法学校初等部へ入学、15歳で卒業する。友達は人並みにでき、恋人もできるような環境


 ・15歳からは魔法に関する仕事に付く。


 ・並々に昇格していき、役職をもらいながら20代を過ごし、30歳を迎える頃には運命の相手と出逢う。


 ・3人の子宝に恵まれ、仕事ではある程度の役職につき、病気なんかもせず幸せに暮らしていく。


「こんなところでしょうか? 」


「えっと……自分で決めたから言いにくいんですけど、なんか占いの結果みたいなんですが 」


「いえ、違いますよ、これはあなたの人生です 」


「あ、そうですか 」


 なんか見れば見るほど平凡ですが。

 でもまぁこれが幸せというやつか。


「……って結局特典の活用できてないし、チート主人公でもないじゃないかぁ…… ぐすんっ 」

 今更現実世界を離れたことが悲しくなってきた。

 数十分前、チート主人公だとワクワクしていた時の自分が懐かしく感じる。


「……なにを泣いてるのか分かりませんが転生致します。 準備はよろしいでしょうか? 」


 メリュシーナは困り顔で首を傾げながら俺を転生させる準備をしている。


「あ、ひとつ言い忘れましたが……」

 え、なに、怖いんだけど。

「ここで選んだ記憶は生まれ変わった時に消えています。 それに前世の記憶ももちろん消させてもらいますね 」


「……これじゃ選んだ意味ねぇぇぇぇぇ!! 普通の生まれ変わりじゃねぇぇかぁぁぁぁ!」


「では幸せな今世を 」


「え、もう転生しちゃうの? 」

 気づけば俺の足元には魔法陣のようなものが設置されており、強い光に包まれた。

 そして視界の全てが光に覆われて、意識が少しずつ薄れていく。

 意識が遠のく中で微かにメリュシーナの声が聞こえてくるような気が……。

「はぁ……全く今回の転生者は、選択が長いったらありゃしなかったわぁ。 しかもずっと一人で喋りながら選んでたし 」


 愚痴をこぼすメリュシーナの声を最後に『風早 隼斗』としての記憶はここで終わりを迎えた。



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 完結までご愛読ありがとうございます🥺


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 今回は短編として執筆してみましたが、長編の『無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からきた俺は神より魔力が多いらしい~』もぜひご覧ください!

 

 そしてこれからも作品を完結させていくつもりですので、ぜひ作者フォローもよろしくお願いします🙏

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異世界転生者、転生前にワンクッションある説 甲賀流 @kouga0208

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