第7話 

一神亭に着いた頃には既に澪がアイスを頬張っていた。

「…何やってんだ澪準備しろ他の奴らは勇者装束

 持ってんだから準備しなくてもいいが俺らは違う

 んだからさ」

「いふぁいふぁ、ほれひはふぁんとひはりひゅう」

「だた腹減っただけだろ早く準備しろ」

制服を脱いで作務衣に着替える。

こちらの準備が終わるタイミングで澪も準備が終わったらしく再びアイスを冷凍庫から取ろうとしている。

「ほら行くぞ澪先ずはミスターんとこだ」

「うぇぇい…アイスもう一個」

「駄目だ」

一神亭から澪を引きずりながら出る。と同時に見えたものは赤。

「あっちゃぁー派手にやってんなー」

家が潰れ砕ける音と燃える炎が感覚を刺激する。

ーーーーー!

怪物の咆哮が耳に響く。

押されてるのか。

さて、早く…

「二人共ぉ!」

「おぉ!ミスター!待ってたぜ!」

タイミング良くミスターがあっちから来てくれた。

これで直行できる。

「ハァ…ハァ…ハァ…ご、ごめんねぇ…遅れた…」

「いや、こっちから行こうとしてたからな」

「い、いや僕から行かないと時間かかるしね…は

 い、これ…例のアレ…」

ミスターが背負っていた風呂敷から黒鞘の太刀と赤い布を取り出す。

「ギリギリ修理が終わって良かったよ…」

「霊布はまだしも黒曜斬鉄まで修理してくれたの 

 か、すまんな。苦労かけた」

霊布を左腕に巻き付け、黒曜斬鉄を背中に背負う。

「いやいや。…あ、あと澪ちゃんはこっち」

ミスターは風呂敷から更に瓶入りの金平糖を取り出す。

「おっ!待ってたぜぇ〜これで思う存分戦れる!」

澪が瓶から金平糖を取り出し、口に投げ入れる。

「30分で終らせるぞ、澪」

「うす!」

「よし、…行くぞ」

手を振って応援するミスターを背に置き、戦場に駆けていった。



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