第6話 

合否結果が届いた。

どうやら、二人共々特例合格のようである。

「…おい、澪。お前宝具…」

「い、いや、ちゃうんすよ!こ、これは〜…そっ

 その〜…あ、あれよ!あれ!弱くしたのに勝手

 に気絶したの!」

つまり、加減を間違った、ということである。

合格してよかったとかは思っていないが、これから疲れるのだろうな、とは思った。

 その次の週、放課後

「合格おめでとう、二人共。」

友達兼俺と澪の専属管理士である遠藤海ことミスターが祝ってくれた。

「あーりがとぅ!」

「どうも。」

「これで僕も管理士の仕事やらないといけなくな

 るけどね。」

どこか遠い目をしたミスターを澪が励ます。

ガラガラガラ

その時、3人しかいない教室の扉が開く。そこから、図書委員の同級生が顔を出す。

「あっ、澪ちゃん!やっと見つけた〜。もー!探

 したよ〜!」

「へ?マジで?」

「いや、澪ちゃん。今日の当番私と澪ちゃんだよ」

「……。あっ(察し)…」

頭に?&ポカーン状態の澪の顔が青ざめる。どうやらこの後当番をすっ飛ばした罪で委員長からお叱りを受ける光景がめに浮かんだらしい。

「ほら、行こう澪ちゃん。委員長がやってくれて

 るから。」

「…あー\(^o^)/(棒読み)」

引きずられる澪を見届けながら頑張ってねーと励ますミスターの顔に苦笑が浮かぶ。

「…さて。えーと、例の宝具と霊布の話なんだけど

 さ。」

「あぁ、どうだ間に合うか?」

「もう出来てるよ。でも…あの霊布」

「それは分かってる。使わなくとも行ける時は使わ

 ない。だろ。」

「…うん。」

「ーあ、半額の時間だ。すまん帰る。」

「あーうん、また明日ね。」

ザックを背負い、教室から出て廊下を駆ける。

靴を履き替え、スーパーへ直行する。

更に3分後だっただろうか。スーパーに着く直前、違和感を感じたのは。

「ッ!」

空が反転する。

歪んだ紫色の空が一面を覆う。

ーーーーーーーー!

怪物の咆哮と共に耳をつんざく様なサイレンが鳴り響く。

『怪異警報発令、怪異警報発令。至急、勇者は

 怪異生物及び異境の討伐に急行して下さい。

 怪異警報発令、怪異警報発令。支給、勇者はー』

思ったより早いな。と思考が届くと同時に俺は一神亭に向かって駆けていた。


ーーー澪sideーーー

「だから、これで何回目かわかる?澪さん。」

「うぇぇい、すいませぇぇん…」

図書室の一角。そこで澪は叱られていた。

理由は勿論数え切れないレベルの委員会サボリである。

「…澪ちゃん。私はね、怒こってるんじゃなくて

 そのクセを治してほしいの。お願い澪ちゃん。

 次からはーー」

「ッ!ゴメッいいんちょ!行ってくる!」

そういって澪は図書委室の窓を開けてー

「え…ま、まさか飛び降りる気!?待って澪ちゃん

 ほんとに怒って…」

「いや!バケモンでてきたから!」

ーーーーー!

怪物の咆哮とけだたしいサイレンが鳴り響く。

『怪異警報発令、怪異警報発令。至急、勇者は怪異 

 生物と異境の討伐に急行して下さい。

 怪異警報発令、怪異警報発令。至急、勇者はー』

それを聞くやいなや澪は窓から飛び降りる。そして着地せず学校の壁を蹴飛ばしそのまま一神亭にすっ飛んだのであった


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