第3話 

夕方

試験が終わり、帰宅する足でスーパーに寄り夕ご飯の材料を買って帰宅する。

「ねぇー今日夕ご飯なにー?」

「今日はシチューな」

「うぇーいやったぁー!」

嬉々として飛び跳ねる澪をよそに夕ご飯の準備を進める。

刻んだ玉ねぎ、ジャガイモ、人参を鶏肉とともに炒め、良い具合に炒めたらシチュー粉と牛乳を投入。

かき混ぜて火を止め、少し置きとろみがついたら粉チーズを加え…

「出来たぞ」

「ッしゃぁい!」

シチューを皿に盛り、澪にテーブルまで運ばせる。

ほうれん草のおひたしと白米を更にテーブルに運んで献立が完成する。

「はい」

「「い(ー)ただ(ー)きます(!)」」

夕ご飯を食べながら澪が会話を繰り出す。

「試験どうだった?」

「…いや、そこまでだったな。」

「やっぱり?」

「お前は?…まさか使ってないよな」

「もぉちろん使っておりませんとも!というか

 アレもってってないじゃん!」

「…そうだな。」

勇者の試験に受かれば、晴れて勇者になる。と共に義務が生じる。それが「月に1度現れる怪物ないし異境から市民を守る」義務と「怪物と異境を討伐または解決する」ことだ。仮死状態など、特別な状態でなければ強制的に出撃しなければならない。さらに魔力…つまり勇者の適正がある人間は強制的にこの試験を受けなければならないのだ。

(まぁ、皮肉というよりは、嫌味だな…)

「ごちそーさまでした!いやー、美味かったー」

「もう食ったのか。」

「全部ね」

…いつの間にか鍋の残りも全て食べられていたらしい。

「お皿洗っとくね〜」

「了解した。」

コイツの食費で勇者保護補助金がどれほど飛ぶのか

考えたくもない。


       〜一章 完〜

    次章第二章、時を繰り返す少女

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