第2話 大手VTuber事務所に合格

「それほんとなんです?翔斗せんぱい」


「いや、ガチだって!!!何回も見たろ??」


「というか翔ちゃん学校に携帯の持ち込みは禁止だよ〜?」


「わぁってます!!いや、でも、これ…」


昼休み俺たちはいつもに屋上に集まりなんでもない会話をする。


ただ、今日は違った。


「…確かに、本当にスクナギプロダクションからですね…。」


「だぁーかぁーらー!そう言ってんじゃん!!何回も調べた!!授業中!!」


「翔ちゃん?今なんて?」


笑顔だけど相変わらず圧怖いなこの先輩。


「と、とにかく!!どうします!?さっきも言った通り面接の予定日が、1週間後の○日と、○日と、○日です…!


……てかお前らVTuber知ってんのかよ!?」


「知りませーん。そんなの興味無いです。どうせ声だけ甘やかされてチヤホヤ育ってんでしょ? ゲームばっかして、雑談の時好きだよとか甘い言葉かけて、それでお金もらってんでしょ?」


「なんかお前詳しくね?」


「僕も知ってるよー。スクナギプロダクションも聞いた事あるし」


「なっ!?」


(瑞希先輩も知ってるの!?え、誰見てるの…もしかして投げ銭とかもしたりしてて…僕との電話の後見てたりするのかな?僕の声が上書きされない?今度はビデオ通話して…)


「…ふゆちゃん…?何考えてるか分からないけど、そんなことしてないし、友達が好きなだけだよ。」


「っ…ですよねー!」



「遥斗は?」


「俺はお前が好きって言ってたから聞いたことはあるけど…見たことはないな…」


「よし遥斗、お前に見せてやろう…俺の推し…みゃーたんを!!」


━━━━━━━━━━━━


「なるほど…こんな文化が…」


(てかみゃーたんって男だったんだ…。)


「おれはみゃーたんの配信を見ててこのゲーム上手くなったんだぜ!!」


「アニメみたいな絵だな」


「絵じゃねーんだよ!!これはみゃーたん!!」


「でもこのみゃーたんって人の中の人昔炎上してましたよね?」


「…俺は!!今のみゃーたんが好きなんだよ!!」


その声は思い切り屋上に響き渡った。



━━━━━━━━━━━━━━帰り道



「俺はこのスカウト受けるぞ」


「…」


「お前がもし受かったら、俺とお前はゲーム出来なくなるのか?」


「かもな」


「そっか…」



「俺の私情になっちまうけど…半年前から配信活動をしていて、まだ上を目指せると思った。俺だけじゃなくて、お前らとゲームをするのをもっとみんなに見てもらいたいって。

みんなに自慢したいんだ…俺のダチ最高だろ?って、見せつけたいんだよ!こんな仲間がいるって過去の俺にも見せてやりたい…」


「それには権力が必要ってことですか?」


「今のご時世、配信業で有名になるにはある程度立場が大事だよね」


「…俺は翔斗に話しかけられてゲームが好きになった。翔斗と友達になりたかったからゲーム上手くなろうって思った。だからゲームは俺にとって副産物にしか過ぎない…」


「…だよな」


「だから、翔斗との繋がりのゲームを手放したくない。これからも一緒に馬鹿やってゲームをしたい…と思う。」



「…ふふっ答えは出たかな?」


「え?瑞希先輩はいいんすか?」


「スカウトされたんだし、こっちが優勢な訳だから、1度受けてみるのも悪くないと思ってね?」


「じゃあ僕も受けまーす!」


「ふゆちゃんは単純だねぇ〜よしよし」


「へへっ♡」


「おい、ぶりっこすんなバレてんぞー!」


「うるさいでーす」


「耳塞いでんじゃねーよっ!」


「ふふっ…で、春ちゃんの答えを改めて聞きたいな。」




「俺も、受けます。」




「春斗…なんで…」


「お前と離れるのは嫌だから。」


「わー熱烈だねぇ」


「どストレートですね」


「本当のこと言っただけだから」



「春斗…ありがとう」


「はーい、ヤンキーくんの目が潤んでマース」


「ッるせ!」



━━━━━━━━━━━━━━━面接当日


「…という事で面接は以上になります。お疲れさまでした。合否は3日以内にお送りします。」


「ありがとうございましたー。」


部屋を出る。ここの階はスクナギプロダクションの35階


「やっぱり大手事務所でしたね〜。」


「翔ちゃん、手応えは?」


「大アリ!!」



「あ、僕トイレ行くので、先に降りといてください。」


「了解〜ビル前でな」


━━━━━━━━━━━━━━━


(しっかしこのビル高いなぁ


下に降りるだけでも乗り換えあるんだ…さすが都会って感じ)


エレベーター「9階に着きました」


「1階っと…」


「あ、すいません…乗ります…」


(うわ、いかにも萌ボって感じ…この人VTuberなんじゃないの?)


(愛想笑いでもしとくか)


「どーぞ。何階ですか?」



「あ、あ、6階で…」


(めっちゃこっち見てくんな〜。気づいてないと思ってるのかな。その陰キャの目線こっちは気付いてますけど)


「え、っと、あの、ここのスタッフさんですか?」


「いえ、違いますよ。」


(おっ初めてここで目が合った。


ずいぶんと歳上の人っぽいな


というか凄いスピードでLINEしてんじゃん。


これは…多分 「めっちゃイケメンな人いるー!」「え、やばいやばいやばい」的なやつか…)


「はぁ…」


「!!!!??」


(おっとまずい、ついつい心の声が…)


「お洋服可愛いですね。見とれちゃって」


「…ありがとう…ございます…////」


(あーあー、また落としちゃったなぁ…)


━━━━━━━━━━━━━━━


「遅くなりましたー!」


「ちふゆ〜おせーぞ!」


「…どしたの?ふゆちゃん?」


「僕、また落としちゃいました…」


「っまえ!もしかしたら先輩かもしれねーんだぞ!!そのエロい顔やめろ!」


「元からなんで…」


「おつかれ千冬」


「遥斗せんぱい…モテるって辛いですね…」


━━━━━━━━━━━━━━━3日後


合格の通知がきた。

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