第52話 デート 千葉真弓part
【真弓side】
白馬の王子様、女の子はいつだって
成長するに従って、現実を早く理解するのも女の子の特徴かもしれない。
子供の頃にそんな存在に出会ってしまったからには、今も夢を見続けるのも無理はないと思う。
幼馴染の恭介くんは、小さな頃から一緒に遊んでいた優しい男の子だった。
乱暴な遊びをする他の男の子たちとは違い、私たち幼馴染の女の子と一緒に『おまごと』や『ビーズアクセサリー作り』などをして遊んでくれていた。
ある日、ボール遊びが禁止されている公園で、
恭介くんはそのボールが私に向かって飛んでくるのを見て、素早く反応して飛び出し、私に当たるのを防いでくれた。
そのとき、周囲の子どもたちは驚きの声をあげ、栃木兄弟たちも驚いた様子でこちらを見ていた。
恭介くんはニコッと笑って、
「大丈夫かい、真弓ちゃん?」
と声をかけてくれた。私は彼に助けられたことに感謝しながら、少し緊張した笑顔で
「ありがとう、恭介くん」と答えた。
その後、ボールが当たった恭介くんは気絶してしまい、近くにいた大人の人が救急車を呼び運ばれて行ってしまった。
しかし、当たり所が良かったのか、すぐに病院から退院して元気な姿を見せてくれた時は本当に喜んだのを覚えている。
その日から、恭介くんに対する思いが少しずつ変わっていくのを感じた。
それが私にとって、幼なじみから特別な存在へと変わっていく、きっかけとなったのだ。
◇
恭介くんを好きになっているライバル、幼馴染の女の子たち。でも私の初恋、恋心は誰にも負けない!
今日は私のデートの番だから、たくさん恭介くんに楽しんでもらって好感度を上げることが目標。
中学生らしく、まずはウインドウショッピングしながら、恭介くんと手をつなぎながら商店街を歩こう。
恭介くんと合流して一緒に色んな店のショーウィンドウを見て回り、服やアクセサリーを見たり、時々はおもしろそうな雑貨店にも立ち寄り楽しくお話をした。
恭介くんが興味を持ったモノを一緒に見ることで、自分も新しい発見があったりして、会話が盛り上がったのが嬉しかった。
その後、恭介くんの好きなアイスクリーム店に行き、恭介くんはチョコミントがお気に入りだと聞いていたので、二人でチョコミントのアイスを注文し、公園のベンチで食べながら、ゆっくりと過ごすだけでも幸せいっぱいな気持ちになる。
周りの子供たちが遊んでいる姿を見ながら、二人で将来の夢について語り合ったり、中学生活の面白い話で盛り上がった。
日が暮れかけた頃、最後に小さな神社へ行き、二人でお参りをして、おみくじを引くと、恭介くんは大凶を引いてしまい……慰めるのも恭介くんに悪いけど楽しかった。
私が大吉を引くと、恭介くんが
「真弓ちゃんの運気を分けてよ!」
と言ってきたけど……思わずあっかんべーをしてしまった……ごめんね、恭介くん。
夕日が美しく空を染める中、恭介くんとの帰り道、彼がふと
「今日は本当に楽しかったよ、ありがとう」
と言ってくれた、その一言が、この日のデートを完璧にしてしまった。
帰宅する頃には、逆に私の恭介くんに対する好感度がぐんと上がり、恋心もさらに深まった一日となりました。
子供の頃から、ずっと、ずっと好きだった恭介くん。
この恋のバトル・ロワイアルからは絶対、負けたくないと、改めて思った私でした。
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