第9話 病院

光は、月に1回通院している。

心療内科。

光には、未だ病名がついていない。

過度のストレスによる健忘が見られる何か。

記憶障害、幻聴(幻聴とは思えないんだけど)

PTSDの可能性が高いが、症状がそれとは言えない部分がある。しかし、再び自殺を図る可能性は低い。


……とのこと。

しかし、ここ1週間ほど眠れないことを伝えると薬が処方された。

抗不安薬、睡眠導入剤。


とにかく、焦らずゆっくりと過ごすこと。

なるべく規則正しい生活をし、食事のバランスに気をつけ、朝は朝日を浴び、なるべくなら入浴すること、スマホは寝る前に触らない……

いいつけが多すぎて、ちっともゆっくりできなさそうだ。


そして、待ち時間はすこぶる長く、診察時間は10分程度に感じる。

待合室にいる人は皆なんだか疲れているように見えた。


これからのことを考える前に今を生き延びろってことか。

光は、ため息をついた。

付き添った母親は、熱心に医師の話を聞いていた。


17歳。本当なら悩みながらも青春を謳歌している頃だ。

全て諦めなくてはならないのだろうか?

光は思った。


なんの罰で?



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