第18話:蛾非の最後。

「片付きましたよ」

「首は飛ばせませんでしたけど脳を真っ二つに割ってあげました」


「全然見えなかった・・・何も見えなかった」


「硬いやつでしたからね、力のかぎり三日月丸を振る下ろしてやりました」


「三日月丸は?アカルは?なんともないのか?」


「三日月丸は神器・・・そして私は神霊ですから・・・心配ご無用です」


「まったくアカルには驚かされるよ」


「話は、あとあと・・・蛾非を追いかけましょ」


二人が去ったあとは、真っ二つになったカイライは徐々に蒸発していた。


神羅とアカルはすぐに逃げていた蛾非に追いついた。

蛾非は民家の屋根を伝って逃げていた。


「待ちなさい!!・・・逃げても無駄です」


「げげっ、お前ら傀魔を全部倒したのか・・・」

「くそ〜これでもくらえ」


そう言うと蛾非は弓矢をアカルに向けて放った。


矢はまっすぐアカルめがけて飛んできたが、そんなものでは阿加流姫は倒せない。

矢は三日月丸によってすぐに薙ぎ払われた。


「何本打とうが同じですよ・・・諦めなさい」


「バカめ、おまえらがいくら腕がよくても私はお前らには近づかんからな、

だからその薙刀と刀では私には届かんし私は倒せんぞ」


「こっちには弓矢があるからな・・・」

「追ってくれば逃げるだけ・・・」


「そう・・・じゃ〜これならどう?」


そう言うとアカルは異徊転魔鏡いかいてんまきょうに月の光を反射して蛾非に当てた。


「うおっ・・・なんだこの光は・・・」


蛾非は自分の手で顔を覆った。

だがその光を直接浴びた蛾非は苦しそうにもがいて見る間に皮膚が焼け焦げ

はじめた。


「ぐぐっ・・・なんだそれは?・・・と、溶ける・・・皮膚が溶ける・・・

くそっやめろっ」


「神羅、今です・・・新月丸であいつを倒して」

「私は鏡を照らしていますから、その隙に・・・」


「分かった・・・やってみる」


そう言うと神羅は屋根の蛾非めがけて飛んだ。

新月丸の力によって神羅の身体能力は異常なまでに向上していた。


蛾非を目の前にした神羅は新月丸を上から袈裟懸けに振り下ろした。

蛾非は弓を盾に身を防ごうとしたが無駄なことだった。

キラッと煌めいた新月丸はどこまでも冷たく美しかった。


無音のまま新月丸が振り下ろされたあと皮膚が溶けかけていた蛾非の顔の片方が

ズリッと斜めにずりおちた。


「ぐおっ・・・・」


蛾非は悲鳴をあげる間も無く屋根から崩れ落ちていった。

何千年も人の魂を喰らって生きながらえてきた悪女の最後だった。


そして蛾非も傀魔と同じく、そのまま溶けて何も残さず蒸発していった。


「終わったな」


「終わりましたね・・・とりあえずね」


「アカルが鏡が役に立つって言ったのはこのことだったのか」

「そうですよ・・・蛾非には弓がありましたからね、近づくのは難しいと

思って鏡を携えたのは正解でした」


「さ、帰りましょ神羅」


「終わったらどっと疲れたよ・・・」


「帰ったらねぎらってあげますから・・・私の愛情で、たっぷり」

「気の済むまでね・・・神羅」


「なんだか怖いな・・・」


「怖くなんかないです、失礼な」

「さ、私に捕まって」

「飛びますよ」


つづく。


バトルシーンを描くのが苦手な僕です、もたついていたらすいません。

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