九
「えーっと、ラッキッキー「違います、ホワイトスカイです」……ほわい?」
「ぷっ、ホワイトにほわいって、いやあ、元勇者さすがな突っ込み!」
「あー、デスメタルさん、ややっこしくなるからちょっと黙ってもらえます?「へーい」」
「……いいですか? 私の名はホワイトスカイ。次に先程の名で呼んだら、鎌で首刎ねますよ?」
にこり。
と、小さな少女が大きな鎌を手に可憐に微笑んでくる。圧、つよ。
ふふっと微笑み、金色のソバージュヘアを肩元で揺らして耳にかきあげると、改めましてという。
「私の名はホワイトスカイ、職業は死神です。まあ、なったのはここ最近で、前職は天使でしたけど」
「まさかのこちらもジョブチェンジ?!」
「あら、貴方、デスメタルなんか前職は死神ですよ? いまの時代は自由に選べる職の時代と来てますから」
「元死神?」
「そうそう」
よろぴくー、とか言ってくるデスメタルにイオンは頭がくらりとなった。
だからか、あんな荒技な天使なんかいない。
「それで、あの…死神さんがなんで」
「ああ、大量の死の気配感じたので来たんですよ。けど、どうやら無駄骨だったみたいですが」
チラリとイオンとじいさんばあさんたちをみて、また、にっこり微笑んだ。
なんだろう、この微笑み落ち着かないな。
一瞬、目の奥が光ったぞ。
と、イオンの頭の片隅で、なにかちかちか灯っている。
すると、そんなイオンを察したようにデスメタルが
「そりゃあ、あんた達の魂を狙ってますからね。まだ」
まだ。
それを聞いたヒヒじいさんが、よれよれと走り出した。
「ひぃやひゃあいやぁぁあ」
あ、逃げた。すると。
「じじぃ、なに、一人にげやがってんだぁぁあ」
あ、リンばあさんが見事な飛び蹴りしたあぁぁ。
ヒヒじいさん、めっちゃ白目剥いてるじゃん!
横でメテオじいさんが、おしいひとをなくしたのぅと、念仏唱え出すと、みんなまで唱え出した。やめて、死神いるから。ヒヒじいさん、狩られちゃうから。
「大変! おじいさんが恍惚とした笑みで倒れて! 助けなきゃ」
そう言って、先程からいた女の子、コハルが走り出し
「あっ」
コケた。
ごいぃん。
えっ、めっちゃ、すげぇ音させたよ。頭からいったよ。目をくるくる回している。
「あら、早速。じゃあいただき」
死神のホワイトスカイがにっこりと、うっそりと笑い、鎌を持った。
アウトー!
「いきてますからぁぁぁ! 狩らないでぇぇえ!」
ああ、もう、これは心穏やかじゃないな。
「イオンさん、ジョブチェンジはツッコミにしやす?」
あるか、そんな職!
突然、勇者候補クビになりまして(仮) 文月 想(ふみづき そう) @aon8312a7
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