「えーっと、ラッキッキー「違います、ホワイトスカイです」……ほわい?」

「ぷっ、ホワイトにほわいって、いやあ、元勇者さすがな突っ込み!」

「あー、デスメタルさん、ややっこしくなるからちょっと黙ってもらえます?「へーい」」

「……いいですか? 私の名はホワイトスカイ。次に先程の名で呼んだら、鎌で首刎ねますよ?」

 にこり。

 と、小さな少女が大きな鎌を手に可憐に微笑んでくる。圧、つよ。

 ふふっと微笑み、金色のソバージュヘアを肩元で揺らして耳にかきあげると、改めましてという。

「私の名はホワイトスカイ、職業は死神です。まあ、なったのはここ最近で、前職は天使でしたけど」

「まさかのこちらもジョブチェンジ?!」

「あら、貴方、デスメタルなんか前職は死神ですよ? いまの時代は自由に選べる職の時代と来てますから」

「元死神?」

「そうそう」

 よろぴくー、とか言ってくるデスメタルにイオンは頭がくらりとなった。

 だからか、あんな荒技な天使なんかいない。

「それで、あの…死神さんがなんで」

「ああ、大量の死の気配感じたので来たんですよ。けど、どうやら無駄骨だったみたいですが」

 チラリとイオンとじいさんばあさんたちをみて、また、にっこり微笑んだ。

 なんだろう、この微笑み落ち着かないな。

 一瞬、目の奥が光ったぞ。

 と、イオンの頭の片隅で、なにかちかちか灯っている。

 すると、そんなイオンを察したようにデスメタルが

「そりゃあ、あんた達の魂を狙ってますからね。まだ」


 まだ。


 それを聞いたヒヒじいさんが、よれよれと走り出した。

「ひぃやひゃあいやぁぁあ」

 あ、逃げた。すると。

「じじぃ、なに、一人にげやがってんだぁぁあ」

 あ、リンばあさんが見事な飛び蹴りしたあぁぁ。

 ヒヒじいさん、めっちゃ白目剥いてるじゃん!

 横でメテオじいさんが、おしいひとをなくしたのぅと、念仏唱え出すと、みんなまで唱え出した。やめて、死神いるから。ヒヒじいさん、狩られちゃうから。

「大変! おじいさんが恍惚とした笑みで倒れて! 助けなきゃ」

 そう言って、先程からいた女の子、コハルが走り出し

「あっ」


 コケた。


 ごいぃん。


 えっ、めっちゃ、すげぇ音させたよ。頭からいったよ。目をくるくる回している。


「あら、早速。じゃあいただき」


 死神のホワイトスカイがにっこりと、うっそりと笑い、鎌を持った。


 アウトー!


「いきてますからぁぁぁ! 狩らないでぇぇえ!」



 ああ、もう、これは心穏やかじゃないな。


「イオンさん、ジョブチェンジはツッコミにしやす?」


 あるか、そんな職!



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

突然、勇者候補クビになりまして(仮) 文月 想(ふみづき そう) @aon8312a7

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ