「でーすーめぇーたーるーさぁぁあん!」

「なぁーあーにぃー」

「いや、悠長に返事してないで、みんなこのまま落ちたらあの世行きなんですけど!」

「えー? まだ翼で飛べないとわぁ、ぷぷっ」

「ぷぷって、貴女も飛べてませんからね? 落下してますからね?」

 まじ、真顔で反論したイオンである。

 つか、じいちゃんばあちゃん「「「「「うひょぉぉいっ、自由じゃいぇぁぁあ!!」」」」」とか叫び始めてるけど、さては現実逃避だな?

 横では、スカートひらひら恥ずかしいわあ、きゃっとか、またカツラ外れて一緒に落下スピード上げる約一名がいたりするし。


「しかたないなぁ、まあ、見習い天使みたいなもんですからねぇ」


 なんてデスメタルがめんどくさげに、懐から、あれを引っこ抜いた。


「じゃー、ま。さきにこれで、一回逝っとく?」


 わあ。

 聴いちゃった。

 マンドラゴラって、歌うんだね。

 あはは。

 


 ……。

 …………。

 えっ? そんな歌聴いて平気かって?

 もちろん、逝ったよ。逝ったとも。

 天国の門くぐったよ、お花畑だよ、川がサラサラ綺麗だよじゃねぇえわ。

 はっと気づいたら死んでるとかある??

 周りにいた天使やら神様みんなが、すまなそうに菓子折りくれたんだけどね?

 あの子のマンドラゴラには、気をつけなされって、忠告遅いわ。


 ……はい?


 いやいや、はやく、引き返さないと帰れないよー。なんて、笑いながら言われても困るんだけどね!?

 あっ、ちょっと、亡者の列にじいちゃんばあちゃん参戦してんじゃん! 

 だめだから、並ばな……え? こんなに行列のできる屋台は天に昇るほどうまいんだろうって、向かう先よく見よう? 棺桶だからね、うまさ感じる前に、ほんっとの意味で昇天だからね?

 ……なんか、ちょっとうまいこと言ったみたいな、ニヤついてるメテオじいさんのドヤ顔イラっとするな。

 いや、和気藹々してるそっちの列ー! ハイストップー。

「あら色白、別嬪さんだねぇっ」って言って和気藹々してないでよく見て? その人骨だから骸骨だからね、真っ白だからね?

 いやいやいや、おててつないでいくのアウトだからぁぁあ。

 そっち、らんらん歌わないでぇえ。




★★★



「落ちてきたら、うけとめる! はい! 落ちてきたら、うけとめる! はい!」

「や、あのー、そこの女子ー。ぶつかるから逃げないと「落ちてきたら、うけとめる! はい!」……いや、聞いてねぇわ。あっ」


 どかどかどかぁぁあっ


 天使により、死人大量発生中。またひとり、女子高生・天野コハル(十六歳)が天に召される。


 おわり。


 ……ではない。


「まあ、これはこれで? いっか。出会いはおけー」

 

 などと言いながら、

 ひとり、ほくそ笑むのは天使である。

 黒い翼はためかせ飛ぶ、天使のみ、彼彼女らのその出会いの意味を知る。

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