第5話:さよならエル、また会える時まで。

亜駄無アダムは放課後クラスの女子の尻を追いかけてる夢を見ていた。


「お兄ちゃん、亜駄無?・・・起きて」


「・・・・・ 」


「起きなさいって・・・」

「また女の子のお尻を追っかけてる夢を見てるんでしょ?」


《んあが・・・》


「お〜き〜て〜」

「起きないとこうしてやる」


そう言って衣舞は亜駄無の鼻をつまんでクチビルに無理やりキスした。

鼻とクチビルを塞がれた亜駄無は苦しくて衣舞を跳ね除けた。


「ぷわ〜・・・やめろって、死ぬだろうが」


って手話でもって手話したけど、衣舞にはとどかなかった。


亜駄無が衣舞を跳ね除けた拍子に衣舞はずっこけて、そのまま後ろの机の

角で思い切り後頭部を打った。


痛くて声もでない


それに気がついた亜駄無はすぐに衣舞に駆け寄った。


「衣舞、大丈夫か?」


「痛い・・・」

「今の暴力だよ、お兄ちゃん」


「おまえがさ・・・あんなことするからだろ?」

「だって起きないんだもん」


「にしたって、キスするんならちゃんと目が覚めてる時にしてくれなきゃ」

「もう俺たち誰はばかることなく愛し合っていいんだから」

「それより頭大丈夫か?」


「もう治ってる・・・でもこれで痛くなきゃいいんだけどね」

「いいから帰ろ?」


「お兄ちゃん今夜なに食べたい?」


「ああ・・・そうだな、ハヤシライス・・・オムライスかな」


「毎回お子ちゃまみたいなリクエストだよね」


「小難しい料理じゃなくていいだろ?」


「このままお買い物して帰るからね・・・ちゃんと起きててよ」


この調子だと兄は妹の尻に敷かれる運命からは逃れないだろう。


結局、エルは自分の星に帰ることになった。

上からの命令で新しい仕事に回わされたため急遽帰ることになったらしい。


「亜駄無さん、衣舞さんお騒がせしました」

「ずっと衣舞さんのことを見守っていて差し上げたかったですが、上からの

命令に逆らうわけにはいきません」

「ですがまた時々地球に様子を見にやってきますから」

「ご迷惑をおかけしました、お世話になりました」


「こっちこそありがとう、エルのおかげで真実がはっきりしてよかったよ」


「エル気をつけて帰ってね・・・また会おうね、ばいばい」


「ではおふたりともお元気で、仲良くね・・・さよなら」


そう言ってエルは消えた。


エルは衣舞に多大な未練を残して帰って行った、亜駄無と衣舞の幸せを願って。


衣舞はUFOとの遭遇以降、衣舞自身の運命も変わった。

それにつられて亜駄無の運命まで変えた。


(果たして衣舞は本当に異星人の DNAを受け継いでるんだろうか?)

(それは血液検査をしてみないとなんとも言えない)

(だけどそれはいい、検査までして知りたいとは思わないから・・・)

(エルの言ったことを信じるよ)


その後、衣舞は飛行機事故に見舞われたが、誰ひとり生き残らなかった

中で衣舞ひとりだけが生存者だった。


海外とかのニュースなら異星人に誘拐されたなんて話はよく聞くことでは

あるけど・・・。

でも衣舞が・・・亜駄無の彼女が普通じゃないことだけはたしかだ。


衣舞はUFOとの遭遇以来、泣かなくなったし、不死身になったし、なにより

めちゃ可愛くなった。

男が振り向くくらい・・・これだけははっきり言えることだった。

だから彼氏としてはめちゃ心配でもある。

クラスの男がまた衣舞に告ったから・・・。


おしまい。

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フォービドゥン・ラブ。〜 禁断の果実〜 猫野 尻尾 @amanotenshi

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