第6話 Q&A(Lily(百合)編)
あの白百合はただの百合ではない。あれは一体何なのだ?
もう限界だった。わたしは心身ともに疲れていた。
誰にも相談できず、絶望的な状況が終わらない日々。
この状況から脱するためにはわたしは消えるしかなかった。
(憎い……)
全てが憎い。
わたしをいじめた人も、見て見ぬふりをした大衆も、そして……。
わたしを見捨てた、親友が。
わたしは小学校の時から同じ三人組にいじめられていた。その時から、親友はわたしに起きている状況を見て見ぬふりをした。親友はわたしがいじめられていることを知っていた。親友は知っていて、関わるのが嫌だから私立の中学校へ逃げた。それだけではない。親友は、この絶望的な状況を知っていながら、親友は偽善者ぶって近づき、優越感を得て、自分に酔っていた。
みんな許せないが、特に親友が一番憎い。
(恨んでやる……呪ってやる……)
自宅に帰るまでの道中、わたしは色とりどりの花を見た。それが花屋の屋台だと気づくのに少し時間がかかった。
わたしは花屋に近づき、近くに会った白百合を手に取った。
白百合、わたしの屍に添える花にとてもふさわしい。
そう思った時、わたしはお金を払わず、その白百合を持って行った。
わたしが去った後、花屋は言う。
「あれ? ここにあった特別な白百合がありませんね……」
あるお客のために作った白百合だったが、盗まれたものは仕方ない。
そう割り切って花屋は淡々と仕事に戻る。
わたしも花屋も知ることはない。
わたしが死んだ後、この時に花屋からもらった白百合こそ、わたしの頭蓋骨に生けられ、親友を絞めた、特別な花だったことを……。
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