第2話 花言葉探偵の急務

 紫苑は洋館を出る。タクシーが来るまでの時間、紫苑は今までに起きたことを整理した。

 少女の依頼は謎解き。

 その謎を解かなければ、紫苑は大切なものは奪われる。

 これは遊戯だ。紫苑は少女に勝てなければならない。


(実に……)


 考え込んでいるうちにタクシーがやってきた。紫苑はタクシーに乗り込む。

 タクシーの運転手は尋ねてくる。


「あんな何もない所で何をしていたんです?」


 紫苑は端的に答えた。


「何も」 




 タクシーから降りた直後、紫苑は京都市内で一番大きな図書館に向かった。

 図書館のパソコンで京都市内のセーラー服の学校を絞り込み、そこから新聞で過去に遡って、該当しそうな学校の記事を洗い出した。

 図書館が閉館するまで新聞をひたすらめくって粘っていると、紫苑の目に気になる記事が飛び込んできた。

 それは新聞でいう、地域の話題を取り上げた、小さな記事だった。


 女子中学生、自殺


 それは一年前、中学生が自宅で首をつって自殺したという内容だった。遺書もあり、すぐに自殺と断定されたため、当時はあまり有名にはならなかったのだろう。紫苑はメモ帳に記事にあった中学校の名前と簡単に内容を書いて図書館を後にした。




 その後、紫苑は新聞に載っていた中学校に向かった。すでに着いた時は放課後で生徒らが門から出ている時だった。


(ビンゴ……)

 

 門から出てくる少女たちの制服が、あの廃墟で出会った少女が着ていた制服と一致した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る