3章 呪いと共に②

 小児科外来に続く廊下を歩きながら、タブレットに視線を落とす。


「鈴村七海ちゃん、過去にいくつもの医療機関を受診しているみたいですね」


「ああ、そのどこでも診断結果が出なくて、霊による病だと思った母親がうちに連れて来た……おい」


 和佐に腕を引かれ、一叶は足を止めた。


「前見て歩け、ぶつかんぞ」


 慌てて顔を上げると、前にスクラブを着た外科医がいる。彼には見覚えがある、外科に配属された同期だ。


「ああ、九鬼じゃん」


 嫌な笑みを浮かべて近づいてきた彼は、和佐の名札を持ち上げるなり怪訝な面持ちになる。


「霊病科? んだそれ。つか霊って……ぷっ、ふざけてんのか?」


 病院内でも窓ガラスに文字が現れたり、割れたり、自分では解けない抑制帯から患者が抜け出したり、霊体験をしている者はそこそこいるはずなのに、未だ霊病科がスタッフにも都市伝説扱いであるのが不思議だった。けれど、痛覚を麻痺させるアドレナリンのように、本能的に人間は身を守るために見たくないものや信じたくないものをなかったことにできるのではないだろうか。だから明らかに視たはずなのに、気のせいだと思おうとする……以前の一叶のように。


「昔は同級殺しとまで言われたエースだったのにな」


「同級殺し……」


 そういえば前も、エリクがそんなようなことを言っていた。一叶のつぶやきが聞こえたからか、彼は「ああ、知らない?」とこちらに視線を移す。


「こいつ、〝前は〟そこそこ優秀で、同じ班で研修してた俺たちレジデントは苦労したんだよ。ひとりだけ突出してると、基準が全部そいつになって、ハードルが上がるだろ。なのに個人プレーでさ、ひとりだけ目立って足並みを揃えてくれやしない」


「でも、それって九鬼さんが悪いわけじゃ……」


「チームプレイができてない時点で、同じ職場で働く人間からしたら迷惑なんだよ。実際、こいつと比べられて辞めてったやつもいたし。ま、今じゃ過ぎた話か」


 彼は和佐の横を通り過ぎる間際にそう言い残し、去っていく。

 和佐は拳を握り締め、低く呟く。


「なんで……俺が妥協しなきゃなんねんだよ……」


「九鬼さん……?」


「なんで俺は……こんなところで足止め食らわねえとならねえんだよ。霊病科に来てから、全然目標に近づいている感じがしねえ。こんなとこで、じたばた暴れても、なんか意味あんのか……?」


「九鬼さん……」


 前に和佐にまとわりつく黒い靄を見た。


『なにが視えてんのか知らねえが……なにも聞くな、俺に関わるな、いいな?』


 そう一叶を拒絶した彼は踏み込まれるのを恐れているようにも見えて、あの日以来、一叶はそのことについて尋ねたことはない。


「行くぞ」


 先に歩き出した和佐のあとについていく。目の前にある背中は、いつもより小さく見えた。




「それでね、七海をいじめてた男の子のたけるくん、七海を中庭の池に突き飛ばそうとして、七海に触っちゃったのよ。そうしたら急に胸を押さえて、そのまま……溺れて亡くなってしまったの」


 小児科外来の診察室にやってきた一叶と和佐は、母親の光子から病状の説明を聞いていた。


 和佐は椅子に座って光子と向き合っており、一叶は診察ベッドに腰かけている七海のそばに立っている。霊病科にコンサルタントをしてきた男性小児科医も、壁際に控えていた。


「事件のあとからこの子、塞ぎ込んでしまって。その翌日から、謎の発熱、湿疹、身体に異常が出始めて、今日はお腹が痛いって苦しみだしたの」


 光子が話している間、七海はずっと俯いていた。顔色は悪く、やはり腹が痛むのか、額に汗をかいている。


「七海ちゃん、お腹が痛いって聞いたんだけど、昨日食べたものを教えてくれるかな?」


 彼女のそばにしゃがんで優しく声をかけると、七海はブルブルと震え始め、視線を彷徨わせた。そして小さな口を開きかけたが、七海がなにかを言う前に光子が答える。


「昨日の夜から今朝にかけて、加熱されていない肉も海鮮類も食べさせてないわよ」


 一叶は「え?」としゃがんだまま光子を見上げる。すると彼女は、ため息交じりに言った。


「腹痛を訴えると、決まって食中毒を疑われてきたから」


「そうでしたか……」


 七海を案じつつも、一叶は光子に尋ねた。


「それでいろんな医療機関を受診していたんですね……同じ病院に通い続けなかったのはどうしてか、お聞きしてもいいですか?」


「原因がわからなかったからよ。どこに行っても風邪だろうって、抗生剤を出されただけだったわ。そのはずよね、これはただの病気じゃないんだもの」


 和佐は目を眇め、「……というと?」と聞き返す。


「ほら私、霊能力者じゃない? これまで退治してきた霊たちに恨まれているのよ。でも、私では勝ち目がないからって、娘を狙ったのね……」


「つまりお母さんは、娘さんの体調が崩れたのは霊のせいだと?」


 和佐の問いに、光子は「そうに違いないわ」と即答した。


「この子はそのとばっちりを受けたの。ああっ、私の娘であるばかりに、重い宿命を背負わせてしまって……っ」


 和佐が一叶に身を寄せ、ぼそりと言う。


「おい、なんか一人芝居始まったぞ」


「く、九鬼さんっ、聞こえますよ!」


 一叶たちが小声で話している間も、光子はマシンガンのように続ける。


「だから、きさらぎ病院には霊病科があるって都市伝説を掲示板で知って、縋るような気持ちでここに来たの。私では除霊できないくらい、強い悪霊みたいだから」


 霊現象を疑う者がほとんどなのだが、少しも霊の仕業であることを疑っていない光子に一叶も和佐も戸惑っていた。


「本当に心配なんです、うちの子になにかあったらって。それに、このままじゃ誰もこの子に近づけないもの。どうにか、うちの子を助けてください、先生!」


 深々と頭を下げた光子に、一叶と和佐は顔を見合わせる。


「今回も検査をしてみて、なにもなかった際は精神科のカウンセリングを受けることも視野に入れてみたほうがよさそうですね」


 和佐の言葉を聞いた途端、光子は信じられないといった表情で起き上がった。


「七海は祟られてるんです! 精神病なんかじゃないわ!」


「お母さん、落ち着いて……」


 小児科医が宥めるが、彼の腕を振り払って、和佐に詰め寄る。


「あなたもやぶ医者なの!?」


 和佐は心底面倒そうに顔をしかめ、『おい、なんとかしろ』と目で訴えてくる。

「あ……お母さん、私たちは霊現象を否定しているわけではありません」


「そうなの?」


 息を切らしながら、光子は一叶を見た。


「は、はい。霊によるものなのか、病によるものなのか、その両面で精査して結論を出しますので、あくまで九鬼先生がいったのは選択肢のひとつです」


「そう……ごめんなさいね、七海が心配で取り乱してしまって」


「いえ、当然です」


 ただ、光子は霊現象であることを確信している様子なので、他の病の可能性を探すための検査に納得しないかもしれない。診察を滞りなく進めるためには、席を外してもらったほうがいいだろう。


「お母さん、血液検査と画像検査を一通りさせていただければと思いますので、少しの間、待合室でお待ちいただいてもよろしいでしょうか?」


「一緒にはいられないの?」


「検査中に動いたりすると危ないものもあります。できれば集中して検査ができるように、ご協力いただけますか?」


「……わかったわ」


 渋々納得した光子を、小児科医が「ではお母さん、こちらへ」と部屋の外へ連れていく。すると和佐は深々とため息をつき、腕を組んだ。


「ああ、やっと静かになったな」


「く、九鬼さん! 七海ちゃんの前で……」


「事実だろうが。あんなにベラベラ喋ってんじゃ、いつまで経ってもこいつの声が聞けねえだろ」


 前のめりに座り直した和佐は、手を組みながら七海に向き直る。


「……そんで、腹のどこら辺が痛てぇんだ?」


 七海は腹を押さえたまま苦しげな呼吸を繰り返して、ますます俯いてしまった。


「九鬼さん……まるで刑事の取り調べみたいです……」


「あ?」


 ぎろりと睨まれ、一叶はひっと悲鳴をあげそうになる。


 和佐は舌打ちをしながら立ち上がると、ちらりと一叶を見やった。ややあって、面倒くせえと言わんばかりにため息をつき、一叶を真似るようにその場にしゃがんで七海と目線を合わせる。


「……腹……痛いんデスカ」


 きっと、怖がらせないようにと思ったのだろう。これが和佐の精一杯だったのだ。

 腹を押さえていた七海はきょとんとしたあと、痛みを堪えながらもぷっと噴き出す。


「なんだ、笑えるじゃねえか。……で、なんでてめえもニヤけてんだよ」


 口元が緩むのを我慢できなかった一叶は、和佐にまたも睨まれ、即座に「すみません」と唇を引き結んだ。


「じゃ、ちょっと横になれ」


 七海はこくりと頷き、診察ベッドに横になる。


「腹、少し触んぞ」


 和佐が手を伸ばしたその瞬間、七海の顔色が変わった。


「ダメ!」


 勢いよく起き上がり、壁に背がつくほど後ずさる。


「触らないでっ、私に触らないで……っ、やだっ」


 縮こまって震えている七海の姿は異常だ。


(この怖がりよう……まさか虐待?) 


 違和感を抱いたのは和佐も同じだったようで、同時に目配せする。一通り、検査を通して身体に痣がないかを確認したほうがいいかもしれない。


「ごめんね、お腹が痛い原因を調べるために、ちょっとチクッとする検査をしないとならないんだ。いいかな?」


 一叶が説明している間に、看護師が採血の道具を乗せたトレーを手にやってくる。

 しかし、頑なに首を横に振る七海に、和佐はため息をつきながら自分の頭を掻いた。


「俺は……医者デス。だから……なんだ。お前を苦しめてるものも、一緒に倒して……ヤリマス。頼って……クダサイ」


 和佐が頭を下げると、また七海から力が抜けるのがわかり、一叶はわざとらしくこそっと声をかける。


「ふふ、お兄ちゃん、変な話し方だよね」


 七海は「うん」と頷く。和佐には『あとで覚えてろ』とメンチを切られたが、七海の緊張が緩んだので名誉の負傷だ。


「そんで? 腹のどのあたりが痛ぇんだ?」


 七海はみぞおちを押さえる。


「吐き気はあんのか?」


「……少し」


「トイレは出てるか?」


 七海は頷く。

 便やガスが貯まっていたり、それらが肛門に運ばれない腸閉塞になると、下腹部が痛くなる。なので下腹部の痛みや張り、吐き気があり、便が出なくなるなどの症状がある場合はX線で腹の中のガスの状態を確認して判断するのだが、七海はお通じに問題はなさそうだ。つまり上腹部――胃の痛みで間違いないだろう。


「母親は昨日の夜から今朝にかけて、なんか変なもんでも食ったか?」


 母親は生焼けの肉も海鮮類も食べていないと言っていたけれど、和佐はあえて七海本人に話す機会をあげたのだ。


 和佐の質問に今までちゃんと答えていた七海は、その質問には黙り込んでしまう。


(やっぱり、なにか食べさせられた……?)


 一叶は和佐と視線を交わし、エコーの機械を引っ張ってくる。


 できれば血液検査で腹痛を誘発する炎症や貧血の病変がないかを調べたかったのだが、本人が拒否しているので、胃痛であるだろうとは思うが、念のため他の臓器の痛みでないかをエコーで調べておく。


「七海ちゃん、この棒を使ってお腹に触るのはいいかな? 直接は触らないから」


 不安そうではあったが、七海はこくりと頷いた。


「じゃあ、服を捲ってお腹を見せてくれる?」


 七海はブラウスを撒くって腹を出した。その瞬間、七海が「うっ」と顔を顰めた。エコープローブを和佐に渡していた一叶は、「七海ちゃん!?」と慌てて振り返る。

「……っ、動いてる……」


 七海は腹を押さえ、苦しそうにはあっと息を吐いていた。


「動いてる?」 


 戸惑いながら七海の腹を確認するが、特に異常はない。


 ――カサカサッ。

 ふと、どこからか虫が這うような音がした気がした。一叶は小首を傾げつつ、「ちょっとヒヤッとするらね」と七海の腹部にゼリーを出す。


 和佐がエコープローブを滑らせるのを見守っていると、和佐が「あ?」と眉間を寄せた。


「んだ、これ……なんか引っかかって……」


 和佐の持つエコープローブの下で、腹部の表面が一瞬ぼこりと盛り上がったように見えた。一叶と和佐は息を呑み、自分の目を疑って固まる。


「い、今……」


「っ、ああ。皮膚の下で、なんか動いてやがった」


「え、エコーのほうにはなにか映ってますか?」


 ふたりでモニターを確認する。


「いや……胃の粘膜が全周性に強く肥厚してんな。……アニサキス症か?」


「……数時間前に海鮮類は食べてないって話でしたけど……」


「母親の問診だけで判断するのは危険だ。画像検査は嘘はつかねえ」


「そうですね……それと、今のこともありますし、エリクくんの念写の結果も確認して、そのあと内視鏡検査で直接、胃の中を見てみないと……ですね」


 和佐が「ああ」と相槌を打ったとき、病室の扉が開く。


「そろそろ原因はわかりまして?」


 戻ってきた光子に一礼すると、和佐はデスクの椅子に座った。パソコンにエコー画像を転送し、ディスプレイに映し出すと、看護師が用意した丸椅子に腰かけた光子に向き直る。


「腹痛がどこから来たものかを確かめるためにエコー検査をしたところ、ここなのですが、胃の粘膜が厚くなっていました」


 和佐はエコー画像の該当箇所をマウスで囲うようにして説明する。


「これは胃のアニサキス症で見られる所見です。念のため、腸や膵臓など痛みのある部位周辺の臓器の状態も観察しましたが、そちらは問題がありませんでした」


 光子は「え……?」と引き攣った笑みを浮かべる。


「胃カメラで胃壁にいるアニサキスを目視で確認し、その場で刺さっているアニサキスを引っこ抜いて除去する内視鏡手術を行うことが根本治療になります。同意していただけますか?」


 話を聞いていた光子は俯いて身体を小刻みに震わせたのち、静かに答えた。


「いいえ、しないわ」


 治療を拒否する光子に、一叶も和佐も、その場にいた小児科医や看護師も面食らう。


「……娘がただの食中毒?」


 顔を上げた光子は、呆れたように一叶たちを見る。


「この子は絶対にアニサキス症なんかじゃないわ! ちゃんと診たの? それとも、あなた方には霊視能力がないのかしら!?」


「アニサキスは食後一週間程度で死滅するので、放っておいてもいずれ症状はなくなりますが、まれにアニサキスが胃壁に穴を開けたり、腸に進んで腸閉塞を起こしたりすることもあるので、放置すると命に関わる可能性もあるんですよ」


 和佐が説得しても母親は首を横に振りながら、ため息をつく。


「呪いや祟りの類が原因なのに、無駄にこの子に手術なんてさせられないわ。七海、帰るわよ」


 立ち上がった光子は、七海を振り返った。七海がつらそうにしながら立ち上がろうとしたとき、和佐がなおも言い募る。


「……アニサキスが生きている間は激しい痛みなどを起こします。このまま治療をせずに返せば、娘さんは発症後、四、五日は苦しむことになりますよ。ほとんどの場合、摘出後に速やかに症状が解消します。治療を受けて下さい」


「お断りするわ!」


 聞く耳を持たない光子に、和佐の顔は明らかに苛立っていた。


 一叶はどうにか治療を受けてもらうべく、一か八かで声をかける。


「お、お母さん、私たちはエコー上ではアニサキス症と判断しましたが、呪いや祟りにかかっている可能性ももちろん考えています」


 母親は「そうなの?」と僅かに興奮を抑える。


「はい。霊は臓器にも憑依し、呪いや祟りという病を起こしますから、それを見極めるためにも、直接胃の中を見る必要があるんです」


「……あなたなら、話になりそうね。そういうことなら、同意します」


「あ、ありがとうございます! その、胃カメラなのですが、前日の二十一時以降から今現時点にかけて食事をしていなければ、午後一で検査が可能なのですが、食事は取られていますか?」


「いいえ、腹痛でくれば胃カメラをするかもしれないでしょう? 食事は取らせていないわ。水分はスポーツドリンクやお茶、紅茶であれば飲んでも大丈夫なのよね」


「は、はい。お詳しいですね」


 コーヒーや牛乳、ジュースなどの濃い色のついた飲み物は胃粘膜に色が着いてしまって観察が不十分となってしまうのだ。


「胃カメラまでは、娘さんは触れられるのを怖がっているようなので、点滴ではなく飲み薬で腹痛や吐き気などの症状を和らげてお待ちいただきます。その間に胃カメラや鎮静剤に関する同意書に目を通していただいて、納得いただけたら署名ください」


 一叶の話を聞いていた看護師が光子に同意書を渡す。


「いえ、ここで署名するわ。きっと、呪いの根源が見つかるはずよ」


 バインダーを受け取った光子は特に内容を確認することなく、さっさとサインをした。


 一叶たちがその姿をなんとも言えない気持ちで見つめていると、「そうだ」と光子がバインダーから顔を上げる。


「娘の胃カメラを待っている間、霊病科のお仕事を見学させてくれない?」


 和佐の「は?」と一叶の「え?」という声が見事に重なった。


「呪いから娘を守るためにも、知見を深めておきたいの」


「そ、それはちょっと……」


 いくらなんでも自由すぎる! と一叶が狼狽えていると、和佐がきっぱりと告げる。


「許可できません。仕事中は患者の個人情報を多く扱います。俺たちには、それを守る義務がありますので」


「まあっ、失礼ね。私も霊能者の端くれよ、同業者なんだから、守秘義務くらい守るわ!」


「そういうことを言ってんじゃ……っ」


 和佐の額に青筋が浮かんだそのとき、病室のドアが開き、神様ならぬ京紫朗が現れた。


「失礼、かの有名な霊能者であられる鈴村光子さんに対して、うちの研修医が失礼な態度をとりました。そのうえで大変恐縮ではありますが、よろしければうちの心霊治療について、ご意見をお聞かせ願えませんか?」


 爽やかな京紫朗の態度を見た光子は僅かに赤面し、咳払いをすると、「まあ、そこまで言うなら」と怒りを鎮めてくれる。


「さあ、応接室へどうぞ。娘さんはスタッフが診ますので」


 京紫朗が『あとは任せましたよ』とこちらに目線を寄越しつつ、光子を促す。

「あら、そう?」


 すっかり機嫌をよくした光子は、一度も娘を振り返ることなく京紫朗が病室を出ていく。


 一叶と和佐は、どっと疲れを吐き出すように息をついた。


「人騒がせな母親だな」


 こればかりは、和佐に同感だ。

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